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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 証券取引所の改革(財務戦略/村藤)

証券取引所の改革(財務戦略/村藤)

07/08/03

最近では、個人でも
株の売買を行う人が増えてきて、
東京証券取引所についても、
ニュースのなかで聞くことが
増えてきました。
そこで今日は、
証券取引所の改革について
お話したいと思います。
現在、このことをめぐっては
結構すごい勢いで物事が
動いていると思います。
そのなかでも
「総合取引所構想」というものがあります。
今の取引所は
「総合」ではないのでしょうか。


■様々な取引所
「東京証券取引所」は、
株の「現物」である株そのものを
売ったり買ったりするだけです。
「現物」に対して
「先物」という言葉がありますが、
将来の株を売ったり買ったりするのは、
東証ではなくて金融庁管轄の
「東京金融先物取引所」
というところがやっています。
その他に、農作物や工業品の取引は
一体どこでやっているのでしょうか。
大豆や小豆、砂糖のような農作物に関しましては、
農水省が管轄している
「穀物商品取引所」というものが
東京と関西に二つあります。
また、金、アルミ、原油などの工業品に関しては、
経済産業省が管轄している
「工業品取引所」というのが扱っています。
このように、現在かなり細かく
分かれている取引所を、
全部総合した方が
投資家のためになるのではないか
ということが言われているのです。


日本ではこのような現状ですが、
海外には総合取引所が多くあります。
シンガポール取引所では、
株の現物と先物だけではなく、
商品取引も全部扱っています。
東芝から来て東証の社長に就任していた
西室泰三前社長や、山本有二金融大臣は、
それぞれ別にシンガポールへ視察に行き、
現物だけではなく先物も商品も、
全部を総合的に取り扱っているところを
目の当たりにしました。
そこで、どうして日本は違うのだろうか
ということを再確認して、
やはり総合取引所に限るな、
という考えに至ったようです。


■総合取引所のメリット
総合取引所になると
どのようなメリットがあるのでしょうか。
商品の取引というのは、
何についてもリスクがあります。
投資家としては、
こちらが下がりそうだから、
あちらを買おうと言うときに、
規制環境が同じ単一取引所で
扱っていてもらうと
手続きが便利で
迅速に取引することができます。
そもそも、日本で取引所が分かれているのは
何故かといいますと、
先ほど申し上げましたが、
省庁の管轄が違うからなのです。


例えば、現物と先物の株は、
金融庁が管轄しています。
また、農作物、大豆や小豆などは
農水省が管轄しています。
それから原油、金、アルミなどは、
経産省が管轄しています。
こうやって規制が
タコ壺の状態に陥ってしまいますと、
みんながそのタコ壺の中で
勝手に振舞い始めます。
すると、他所が見えなくなって、
進歩も止まってしまう
ということになるのです。
日本国内でそんなことをやっているうちに、
海外ではすごい勢いで、
あちらがくっついたり、
こちらがくっついたり
という話が始まっています。


■世界の取引所の大型合併
世界最大の証券取引所は、
ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange)ですが、
この4月にパリを中心とする
ユーロネクスト(Euronext)と合併しました。
また、2番目に大きいのは
ナスダック(Nasdaq)といって、
IT系の会社などが
たくさん公開している取引所です。
このナスダックが、
北欧やバルト諸国に取引所を運営している
OMXを買収する方向で
最終協議に入ったことが
5月の末に明らかになりました。
さらに今度は、
ロンドン取引所が
イタリア取引所を買収する
という話が起こっています。
このように世界では統合再編が
かなり加速しているわけです。


この動きは株だけではありません。
商品でも、アメリカ最大の先物取引所である
CME(Chicago Mercantile Exchange)と、
2番目に大きいCBOT(Chicago Board of Trade)が
統合するということを
つい最近決めたところです。
これもCMEがCBOTを買収するのに
1兆4,500億円ものお金を払うということで、
大変な金額の統合になります。
このように株式市場だけではなくて、
商品市場でもいろいろな統合が
起こっているのです。
かたや日本では、
このような統合はおろか、
それぞれが省庁別に分かれて
タコ壺で進歩が止まっています。


■「証券取引法」から「金融商品取引法」への移行
しかも国内の証券取引所は、
東京証券取引所がメインで、
ほとんど競争がない印象を受けます。
改革の手始めとしてまず
証券取引所と金融先物取引所の
双方を規制するため、
「証券取引法」や
「金融先物取引法」が廃止され、
「金融商品取引法」になりました。
証券取引所や金融先物取引所も
これからは金融商品取引所
と呼ばれることになりました。
これが徐々に施行されていって、
今年の秋からほぼ全面的に
施行されることになっています。
法律上でも、証券だけではなく
金融商品をまとめて投資商品として取り扱い、
インサイダー取引などの
違法行為をやっていないかを
チェックしなさい
という話になってきています。


このように法律も変わってきています。
今まで資本市場は
「金融庁」や「証券取引等監視委員会」が
監督していました。
しかし、このように次第に総合的になってきますと、
アメリカのSEC(Securities and Exchange Commission)や
イギリスのFSA(Financial Service Agency)のように、
現在の公正取引委員会と
似たような性質を持った組織が、
自由な取引を認める一方で、
悪いことをしていないか
チェックするというようにしなければ
いけないのではないか
という議論が出てきています。


■種類株の上場
また一方で、
去年から「新会社法」というのができて、
会社の自己資本に関する規定が
少し変わってきています。
今までは一つの株は一つの議決権をもつ
という原則がありました。
それで、議決権をなくするとすれば
議決権がない代わりに、
配当を普通株の株主より先に払う
配当優先株にしなければならない
といっていたわけです。
ところが、新会社法でこれが緩和され、
配当の支払順位は普通株主と同じで
議決権を変更してもいい
ということになりました。
その結果、配当は普通株主と同じで、
議決権は普通株主の半分にしようとか、
1/3にしようとか、
1/10にして取り敢えずお金を調達しようとか、
そういう株式が可能になりました。
このように、配当や議決権等について
普通株と異なる仕組みにした株式の事を
「種類株」といいます。
これまでは種類株を発行しても、
それを上場する市場がなかったので、
流動性が無く発行が困難だったのですが、
種類株も上場することにしませんか
という話が出てきて、
東証では今年中にも種類株の市場を作ろう
という話が出てきています。


■夜間取引の提供
また取引の時間帯についても、
夜間取引というのが
近年どんどん膨れてきています。
現在でも、マネックス証券や
カブドットコム証券などが個人向けに、
またインスティネット証券などが
機関投資家向けに
夜間取引をやっています。
それに加えて、つい先日、
ソフトバンクのベンチャーキャピタルである
SBIホールディングと
楽天証券、オリックス証券などが合意して、
株の夜間取引場を創設することを
決めました。
夜間取引は、
日本では全体の取引の0.1%に過ぎませんが、
アメリカでは売買全体の数十%に達します。


堀江元社長が夜間取引をしたことが
ニュースにもなりましたので、
日本でもできるのかと
思われた方がいると思いますが、
まだ始まったばっかりで、
これがアメリカ並みになるまでには、
いろいろな制度やシステムが
出来ていかなければなりません。
東証では、昨年
システムダウンがあったりして、
なんでそんな物が簡単に壊れるのか
不思議でしたが、
そういう面も含めて、
もっと証券取引所を改革していかなくては
ならないわけです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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