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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 研究開発組織の構造とリーダーシップの役割(イノベーション/永田)

研究開発組織の構造とリーダーシップの役割(イノベーション/永田)

07/08/01

前回、イノベーション自体が
ダイナミックなライフサイクルを
持つものであるということについて
お話ししました。
その変化に企業が対応して、
イノベーションを追求していくためには、
研究開発や製品開発に
取り組むにあたって、
柔軟な組織を構築する必要があります。
そこで今回は、
組織をどのようにデザインしたら良いのか、
あるいはその組織におけるリーダーシップは
どういう役割を担うべきであるのか、
といったことについて
お話ししてみたいと思います。


■マトリックス型の組織
やや抽象的なカテゴリーになりますが、
通常、企業は企画、財務、研究開発、生産、
あるいは販売マーケティングと、
色々な機能を持っており、
それらの機能を組織的に統合しています。
また、ある企業が
多様な市場ニーズに対応しようとしますと、
製品ラインごとに事業部制を敷いて、
その事業部ごとにそれらの機能を
配置するということが行われます。
さらに企業が、
市場ニーズの変化という環境変化に対して
柔軟に対応しようとしますと、
そのように分化した機能を
プロジェクトベースで統合するということが
行われるようになってきます。
そうしますと、
機能部門とプロジェクトチームが交差して、
マトリックス型の組織といわれる
組織構成がとられることになります。
研究開発や製品開発への取り組みは、
しばしばこうしたマトリックス型の
組織の下で遂行されています。


■分化と統合の同時追及
すると、企業は機能を分化させる一方で、
同時にそれらを統合していかなければならないという
課題に直面していることになります。
企業は、分化と統合を同時追求しながら、
環境の変化に最適に適応しようとする
と言われることがあります。
したがって、望ましい唯一の
組織構造があるのではなくて、
環境との相対関係の中で最適な組織構造が
規定されるということになります。
こういう考え方は、
1960年代に興隆しました
コンテンジェンシー理論という、
組織論の中で提示されてきたものです。
マトリックス型の組織の場合、
各部門が分化された
機能を担っているわけですが、
一方でプロジェクトチームでは、
その機能の統合が
追求されることになります。
この各部門とプロジェクトには
それぞれ責任と権限を持ったリーダーがいます。
そこで機能の分化と統合を
同時追求するという課題は、
それぞれのリーダーの責任と権限を
環境要因に応じて
適切に配置することであると
言い換えることができます。
この配置に失敗しますと、
プロジェクトチームの各メンバーは、
あたかも二重の指揮系統下に置かれて
混乱することになってしまいます。


■権限と責任の配置
研究開発組織や、
製品開発の組織においては、
そうした権限や責任の配置を
どういう点に留意して行うべきなのか
という事についても
盛んに研究が行われてきました。
研究開発や製品開発にとっては、
そのタスクの対象となる技術の特徴が、
一つの重要な環境要因です。
例えば要素的な技術の変化が
非常に早くて、
その先進的な技術に
遅れを取らないようにすることが、
その組織にとって決定的に
重要であるという場合には、
要素技術の開発を担当する機能部門に
強い権限を置いた方が良い
と言われてきました。
逆にプロジェクトリーダーの方に
権限を集中させた方が
良い場合もあります。
それは、
新製品開発のプロジェクトにおいて、
機能部品間の相互依存度が非常に強い製品、
つまり部品間のインターフェイスが重要な製品を
開発しようとしている場合です。
その部品のつなぎ方が、
製品全体の性能を大きく
左右するようなタイプの製品開発に
取り組んでいる場合、
プロジェクトリーダーの方に
権限を集中させた方が
良いと言われています。


■具体的な業種を例に
典型的な例として、
しばしば自動車が取り上げられてきました。
東京大学の藤本隆宏先生たちの研究によりますと、
日本の自動車メーカーでは
強い責任と権限を持つリーダー、
これは重量級のプロダクトマネジャーと
呼ばれていますが、
そういうマネジャーの存在が、
インテグリティの高い、
すなわち首尾一貫性のある
製品の開発に貢献してきたとされています。
製品の機能と構造のつなぎ方、
あるいは部品間のつなぎ方、
そういうインターフェイスに関する
基本的な設計思想は、
製品アーキテクチャーと呼ばれています。
製品アーキテクチャーは、
いくつかの類型に区分されています。
例えばいま例にあげました自動車のような、
部品間のつなぎ方が製品全体の性能に
大きく関わってくるようなタイプの製品は、
藤本先生たちによって、インテグラル型、
あるいは、すりあわせ型と呼ばれています。
他方で、パソコンのように、
各部品が相対的に独立していて、
その部品を寄せ集めれば、
ひとまず製品を構成できるというタイプの製品は、
モジュラー型、
あるいは組み合わせ型と呼ばれています。


■組織の構造およびリーダーシップ
そうすると、企業は、
開発・生産しているモノによって、
その製品開発組織の構造や
リーダーシップの役割を
変えていかなくては
ならないということになります。
企業は、新製品開発に取り組むに当たって、
リーダーの責任と権限を
適切に配置しなくてはいけませんが、
その際、自社の製品が
どういう技術的な特質を持っているのかを
見極めることが必要です。
環境とそれに対応する組織のあり方を
踏まえた上で
戦略的に製品開発のマネジメントに
取り組む必要があるということです。

分野: 永田晃也教授 |スピーカー:

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