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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 年金給付と年金システム(2) (財務戦略/村藤)

年金給付と年金システム(2) (財務戦略/村藤)

07/08/17

今回も先週に引き続き
年金問題についてのお話を
したいと思います。
まず最初に、
年金問題のひとつでもある
「年金システム」について
お話しましょう。


■年金システムの契約の問題点
現在の年金システムは、
昔、NTTデータが電々公社といっていた頃に
引き受けて構築したものです。
その後、NTTグループは
いろいろな企業に分割しましたので、
NTTデータがそれを引き継ぐという形で
現在やっています。
年金のプログラムの著作権自体を
NTTデータが持っていて、
運用であるとか保守であるとか、
そういう物も全て随意契約で
NTTデータに発注していますので、
だいたい毎年750億円くらい
払っているらしいということです。
この金額の大きさについても
非常に問題になりましたが、
これについては、
この750億円を支払うにあたって、
契約書がないことが判明して
一度騒ぎになりました。
毎年750億円も支払っているのに、
どうして支払う根拠となる契約書がないのか
ということで大騒ぎが起こって、
会計検査院も検査に入ったわけです。
本当に我々の税金や年金を
なんだと思っているのか疑問です。


■政府のシステム導入の問題点
システム導入というのは、
まずシステムを企画して、
それから導入して
保守運用をするのですが、
日本のシステム会社は、
政府向けの場合、
企画の所はほぼタダでやって、
そして導入を普通の値段でやって、
保守と運用のところでふんだくる
というパターンで
儲けているのです。
何故こういうことが
起こるのでしょうか。
こういった契約においては、
まず、最初の企画のところで
競争入札をやるのですが、
そうすると、外資系は、
タダで仕事はできないので、
それなりのマーケットプライスで入札して
応募するわけです。
ところが、企画の所をタダでやって、
後でふんだくれと思っている
日本企業は、
ほぼタダ同然で
入札するわけです。
この段階で外資系は
みんな排除される
ということになります。
その後の、メンテナンスのところでは、
自分たちが作ったシステムだから、
他の企業には分からないということで、
毎年、巨額のお金を
取り続けるというのが、
日本のシステム会社の
パターンなのです。


■5千万件分の「照合」について
年金システムの問題も、
社会保険庁の不祥事のおかげで、
そもそもシステムにも
問題があるのではないか
ということがバレてしまったことが最初でした。
該当者不明の支払い記録が
5千万件もあるのであれば、
それは一体、誰の、
どの年金番号の支払いなのかを
見なくてはいけません。
これを「照合」といいますが、
照合は、システム上、
5千万件の該当者不明記録を
年金番号や、
年金番号に対応している記録と
照合することで、
人力でなくシステム上で行います。
そこで、10億円くらいのシステムを作って
照合すればいいのではないかと、
社会保険庁は考え、NTTデータに、
そのシステムのプログラムの
作成を依頼しました。
NTTデータは、
社会保険庁との不透明な関係が
バレてしまったので、
謝罪がてらに、
その仕事を経費だけでやって、
利益はいりませんというようなことを
言っているわけです。


普通に考えると、
毎年750億円も貰っているのに、
10億円のプログラムを2、3割まけても、
それが一体なんぼのもんや
という気もします。
しかし、それはともかく、
今まで言っていたよりも早く安く
そのプログラムを提供する
ということになりました。
こうしてプログラムは
4ヶ月くらいで出来るというので、
本年度中には
照合作業が出来そうな
見通しになってきたのです。
最初は、来年の5月までに照合すると
言っていたのですが、
NTTデータのプログラムが出来さえすれば、
照合自体はシステム上で
すぐに出来るというわけです。
安倍総理も12月から順次やっていくと
言っています。
当初は5千万件を付き合わせるのに
何十年もかかるという話も出ていましたが、
照合部分はプログラムさえ出来れば、
10日もかからずに
数日で出来てしまうような話なのです。


■「突合」と「名寄せ」の問題
しかしながら、確かに
「照合」というシステム上でやる部分は、
プログラムさえ出来れば
すぐに出来るのですが、
それとはまた別の問題として
「突合」という作業があります。
「突合」とは、
コンピューター上の記録と、
それが元々記録されていた
マイクロフィルムや紙ベースの台帳などとを
突き合わせることを言います。
突合の場合、
片一方はシステム上のデータですが、
もう片一方は台帳の記載ですから、
それらを突き合わせるのは、
まさに手作業で、
山のような人手と時間がかかります。
これについては、
コンピューターに未入力部分が
1,930万件あるという話ですが、
この突合を来年の5月までに
やる予定であると
今のところ言っています。


「照合」の5千万件を今年中にやって、
「突合」の1,430万件を来年の5月までにやって、
その次に何をするかといいますと、
今度は「名寄せ」です。
「照合」や「突合」をして
データの間違いが発見されたときに、
本当のところを確認するには、
本人と話して、
それが本当なのかどうなのか
決めなくてはいけません。
これについては数年かかるのが
目に見えています。
このように、これらの問題が
完全に沈静化するまでは、
まだまだ時間が掛かると言うことです。


■社会保険番号の導入について
このように、色々とわからなくなってきた中で、
社会保障番号の導入などといったような
新しい話が突然
飛び交い始めました。
ソーシャル・セキュリティ・ナンバーというのは、
アメリカでは既に
導入されている制度なのですが、
日本では社会保障番号が
そんな簡単に導入できるのでしょうか。
みんなが年金の記録問題を
解決しなきゃというので、
その対応策の一環として、
突然、社会保障番号が
クローズアップされてきたのですが、
そもそも社会保障番号を、
どの番号にするのか
ということ自体が問題です。
3つ選択肢があります。
基礎年金番号という、
いま年金に使っている番号を、
社会保障番号というものにする
という選択肢が一つです。
また、住民票コードを社会保障番号にする
という選択肢が二つ目です。
年金番号でも住民票コードでもなくて、
新たに社会保障番号というものを作る
というのが三つ目の選択肢です。
このうち一体どれにするか
ということさえ決まっていないのですが、
安倍総理は、2011年を目途に、
社会保障番号を導入する予定で
検討すると言っています。


■年金制度の再設計にかかわる問題
最後になりますが、
年金制度についてもお話しましょう。
これは先日もお話しましたが、
今回の問題というのは、
社会保険庁のチョンボの話であって、
年金制度の問題ではありませんでした。
年金制度を少子高齢化社会に合わせて、
どうやって再設計すべきかどうかということは
まったく別の問題です。
今の年金制度では、
若者が同じ時代の高齢者に
お金を投げるという制度ですから、
若者が少なくなって、
高齢者が多くなったら、
破綻するに決まっています。


そういう意味では、唯一の解決策は、
アメリカの401kのように、
自分の分の年金は若いときに
自分で貯めておくということであって、
それを原則とする確定拠出型年金に
だんだんと移行していかないと
しょうがないはずです。
しかしながら、この移行には
コストがかかります。
現在の高齢者の年金は、
現在の若手が支えているのですが、
確定拠出型に移行すれば、
現在の若手はそれに加えて
将来の自分の分も
支えなければならないからです。
このコストは誰かが
負担しなければなりませんから、
現行の制度から
確定拠出型への比重を
徐々に高めながら移行するとして、
現在の高齢者へ貢献すると共に、
自分の分の確定拠出年金を
貯めることができる余裕のある人は
積極的に支援すべきであると思われます。
にもかかわらず、現在、
年金への拠出のうち、
損金として認められる金額は
月額4万6千円までであり、
あまりにも少ない金額です。


現在の高齢者を支えながら、
将来の自分の分を貯めようと思っても、
普通はとても貯まりません。
自分の分も貯められないのに、
将来になったらひょっとすると、
年金を貰えないかもしれないということで、
みんなが不安になってきている
というのが現状なのです。
チョンボをした社会保険庁を
たたくのも結構ですが、
少子高齢化にどう対応するかという問題を
早く解決して欲しいと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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