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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 国際ビジネス (企業法務/岡田)

国際ビジネス (企業法務/岡田)

07/06/05

前回は、私自身が
米国のビジネススクールに通ったときの
体験談をお話しました。
今回は、MBA取得後の進路について
お話しましょう。


■MBA取得後の進路
アメリカのMBAを取得した方のなかでも、
企業派遣ではなく、
自費で留学された方は、
日本に戻ってくるのではなくて、
アメリカの企業に就職される方が多いようです。
もちろん最近は、日本企業でも
アメリカでMBAを取得した人を
採用するという枠を持っています。
いわゆる帰国子女枠、
あるいはMBAの枠ということで
日本でも就職機会が広がっているのですが、
やはりせっかく英語の中で闘って、
アメリカのMBAを取ったのだから
やはり、一度は、米国勤務を試したいという方もかなりいます。
これは、日本人だけではなくて、
中国、韓国の方々も多いようです。


MBAを取得すれば、
今で言えば、IT系であるとか、
アメリカのいわゆる
エスタブリッシュメントといわれる企業、
例えばフォーチューン500に入るような大企業に
就職できる可能性が非常に高くなります。
特に国際企業といわれる
グローバルに展開している企業では、
例えば将来的に日本を担当させる幹部として、
そういう人間を候補として雇うというようなことは、
かなりあると思います。


アメリカの場合は就職といっても、
日本みたいに新規学卒者を、
新規採用として大きな枠を設けて
採用するというよりも、
むしろ、空いたポジションに、
職務区分(job classification)といって、
どういう仕事か、詳細な内容を提示して、
この仕事に就きますか、遂行できますか、
どうですかと募集する形になります。
だから、企業に就職するときは、
まずその企業から、
職務区分の情報をもらって、
それを見て判断するのです。
ですから企業側は、やはりどうしても、
いわゆる即戦力を要求してきますので、
実績がある人が求められます。
実績プラス、MBAというブランドで採用されるのです。


■職務経験の大切さ
職務経験というのは、
就職する上でも結構高いポイントになりますが、
そもそもビジネススクールにはいる時も、
職務経験を持っていると、
合格率が高くなります。
だから、日本の企業で何年か働いていたということを、
その企業の上司などに
いろいろ推薦文を書いてもらって、
申請書に添えて提出することになります。
ビジネススクールというのは、
一方通行ではありません。
先生が学生に教えるだけではなく、
先生も学生から知識を吸収します。
ある意味コラボレーションの中で
研究や教育が進んでいくというのが
ビジネススクールなのです。
ですから学生が、バックグラウンドとして
ビジネス経験を持っているというのは、
そのスクールにとっても非常にいいことで、
そういう理由で実務経験のある学生の
合格率が高くなるのです。


ですから、
申請書(application)を今、準備されている人、
あるいは、
将来そういうことを考えておられる人は、
是非、職務経験などに注意して
書かれたらいいと思います。
現にビジネススクール、
例えばハーバードやスタンフォードなどは、
ビジネススクールであると同時に
コンサルティング会社でもあります。
企業からいろんなプロジェクトをもらって、
それを学生と先生で
コンサルしていくということを
実際にやっているくらいに、
経験を持った学生、そして先生が
いるという所なのです。
本当にアメリカというのは
日本とかなり大きな違いがありますが、
大学と学生、そして先生が、
企業にいろいろな提案をしているということは
もっとも大きな違いといえましょう。
まさに産学連携を
もともとやっているという感じです。


■アメリカの雇用慣行の違い
学生の就職という点でも
日米には大きな違いがあります。
アメリカの企業では、新卒採用や、
終身雇用(lifetime employment system)などの長期雇用は
今ではもうない会社がほとんどです。
少し前、例えば80年代の前半くらいまでは、
アメリカでも、特に大企業は、
終身雇用を取っていました。
しかしながら、それがだんだんと変わってきて、
先程申しましたように
希望する仕事に応募(apply)して
いわゆる転職(job hopping)したりすることが
目立ってきたわけです。
ですから1回仕事に就いたとしても、
また他の会社などで
自分にあった職種・ポジションがあれば
そこにアプライしていきます。
スキルアップして、
ステップアップしていくために
転職をするわけです。


■企業法務の日米比較
日本でも多少、
そういう要素が入ってきつつあります。
たとえば私がやっていた企業法務についていえば、
企業の法務部担当者・経験者は、
ヘッドハントの対象としては
1番の目玉になっています。
企業法務の経験者を、
いろんな日本企業が探しているのです。
法律の専門家である弁護士というのは、
なにも弁護士事務所を立ち上げたり
大きな事務所に入るだけではなく、
企業の法務部で働くという道もあるわけです。


いつかの回で申し上げましたが、
日本は世界の中でも、非常に異例な国で
企業の法務部が
一般の社員から構成されています。
欧米企業では、最近では、アジアの国々でも、
企業の法務部で働く人々はみんな弁護士資格保有者なんです。
外注ではなく社内でちゃんと
その会社の給料をもらっている
いわゆるイン・ハウス・ロイヤー、社内弁護士です。
彼らはちゃんと社内に自分の席をもっていて、
その会社の法務部の人間として働いています。
例えばIBMには、
400人くらいの社内弁護士がいます。
社内弁護士だけの弁護士会もありますが、
独立弁護士会と同じくらいの数のメンバーで
構成されています。
ですから日本でも、
これから司法試験で合格した人々の進路として、
企業の法務部というのは非常に可能性が高いのです。


日本でも、だんだん欧米化がなされてきて、
いわゆる法律の網が、
企業にも個人にもかかってきて、
あたかも黒船のように、
我々の足下に押し寄せています。
例えば去年施行された、
個人情報保護法とか、
あるいは今いわれている、
サーベンス・オクスリー法(SOX法)の日本版とか、
企業は、否応なしに、
法律を考えないとビジネスが出来ないという
時代になりつつあります。
そういうときに社内に法律の専門家を育てる。
しかも弁護士という資格を持った人を
入れるということは
得策だと思います。


■仕事の専門性が重要になってくる
アメリカでは
自分の専門性を持って、
自分を売り出していくという仕事の見つけ方、
あるいは仕事を次々に
レベルアップしていくというやり方が、
現在の通常のやり方ですが、
そのような考え方は
日本でも法律の世界に限らず、
広がっていくのではないでしょうか。
営業なら営業、総務なら総務、
そうした自分の専門性というのが、
これから重要になってくるでしょう。
今までの日本的経営の特色の1つであった
「終身雇用」というのが、
今の時代だんだんと壊れてきています。
その中で、企業も即戦力を欲しがっており、
従来のいわゆるジェネラリストの養成よりも、
スペシャリストの養成に力を入れるでしょう。
加えて、スペシャリストをメインにしながら、
ジェネラリスト的な要素も
少しずつその人間に加えていくというやりかたが、
これからは大事になってくると思います。

分野: 岡田昌治准教授 |スピーカー:

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