QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 自治体財務(財務/村藤)

自治体財務(財務/村藤)

07/05/18

■地方自治体の借入金
先日、中央政府が債務超過だという話をしましたが、
地方自治体の借入金を合計すると、
中央政府ほど酷くはありませんが、
200兆円位になっています。
中央政府の800兆円に比べれば、
まだマシですが、
日本の人口を1億人だとして
1人あたり200万円位は借りているということで、
結構大きいです。


地方自治体はどこから借りているかというと、
地銀から借りたり、
公営企業金融公庫から借りたりしています。
公営企業金融公庫は、郵政民営化のおかげで
お金が入ってこなくなってしまったので、
もう潰せという話になって、
貸してくれる先が無くなってきました。
総務省も、地方交付税を銀行から借りて
出していたのですが、
これも財務省にもう返せと言われてしまい、
お金を返さなくてはいけなくなって、
貸してくれるところが
だんだん無くなってきました。


デクシア・クレディ・ローカル銀行は、
自治体融資における世界最大の銀行です。
もともとはフランスで
自治体や公共機関向けの融資を手がける公庫でしたが、
1987年に民営化してから、
26カ国に拠点を持つ
自治体向け融資で世界最大の銀行になり、
2006年12月から日本で営業を始めました。
山形県、大阪市、京都市あたりが、
デクシア銀行から長期の借入を始めたようです。


■財政再建団体
夕張市が財政破綻して、
騒ぎになりましたが、
他の所は大丈夫なのかというと、
大丈夫じゃない自治体が沢山あります。
2006年末の日本経済新聞の調査によると、
1/10位は将来、
財政再建団体に転落するのではないかと、
自分でも心配のようです。
その中の1/3位にあたる28市は、
3年以内くらいに転落する
恐れがあると言っています。
その内、19の市が実は九州の市なのです。
九州でもちょっと
これを放置するのは危険なのではないかという
懸念が少しわき上がってきたところなのです。


各自治体では色々な取り組みをやって
業務を削減しようとしていますが、
なかなかそう簡単にはいきません。
たとえば福岡の大牟田市でも、
財務が厳しくて
2007年度予算が作れないという話になって、
職員給与を10%位削減するというような
ことやったりしています。
これはすごく下手なやり方です。
自分も給料を減らすが、
みんなも給料削減でがんばってねと
いうような安易なことをやり続けると、
皆だんだんやる気を無くします。
そして、優秀な人がどんどん逃げてしまいます。


夕張市も色々な削減を行っていますが、
夕張市はそもそも粉飾決算をしていたので、
まともにやって駄目だったところと、
ちょっと違います。
夕張市は、負債を隠していたのです。
政府の借入の場合、
言葉がちょっと普通と違うので、
注意しなくてはなりません。
地方債というと、
債券、社債みたいなものかと普通思いますが、
銀行借り入れでも長期で3月末を越えてしまうと
地方債というように呼びます。
自治体の場合、4月と5月の
現金の出し入れを前期の取引とみなす
出納整理期間というものがあります。
夕張はこの期間に借金を返済して、
前期に返済したものと見せ、
一瞬後に同じ金額を借りて
翌期に借りたと主張していました。
本当は4月や5月に返しているのに、
出納整理期間の返済のおかげで
3月末には地方債が0に
なっているように見えるのです。
本当はずっと借り続けていた
期越えの長期地方債が
存在しないように粉飾していたわけです。


■イエローカードとレッドカード
夕張のほかにも
放置すると大変だという自治体が増えています。
そういった中で、政府は、
地方財政健全化法案を国会に出してきました。
この法案によれば、
ちょっと危なくなったら
イエローカードを出して、警告し、
財政健全化計画の策定や外部監査をさせます。
イエローカードを出しても
改善の余地が見られず、
さらに財務が悪化した場合
レッドカードを出し、
国だとか都道府県が実権を
地方自治体から取り上げて、
勝手に再生するというようなことを考えています。
今までは、
地方財政が困ったことになると、
総務省が地方交付税をたくさん交付するので、
問題が露見しにくかったのです。
自治体は、突然監査しろと言われても、
公認会計士の数も足りないので
簡単には出来ません。
会計士の方でも
現在の公会計は会計基準が民間企業と違うので、
わかる人は非常に少数です。
現在イエローカードを出す基準を
4つくらい決めており、
たとえば有利子負債が
過剰な将来負担比率だとか、
連結実質収支比率だとかの
基準を出してきていますが、
どこからがイエローカードやレッドカードの
対象になるかという数字を
総務省がまだ発表していないのです。
下手に発表すると、
イエローカード対象の自治体が
山のように出てきて
収拾が付かなくなりそうだということを、
懸念しているのです。
秋頃までに何とかなるくらいの
バランスを考えて
発表する予定のようです。


■会計と監査
そもそも、国に監査能力はないので、
国が自治体の監査を
自分でやることはできません。
公認会計士に監査してもらうためには、
今の現金主義と予算主義に基づく方式から、
発生主義、複式簿記とか連結主義という、
民間企業がやっているような会計に
移行する必要があります。
そうすると、
普通の公認会計士は誰でも
自治体の財務を監査できるようになるので、
それを見ていただくということになります。
ただ、小さい自治体までは手がまわらないので、
都道府県や政令指定都市のような
大きいところから
徐々にやっていくしかありません。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ