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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 大丸と松坂屋の統合  (財務/村藤)

大丸と松坂屋の統合  (財務/村藤)

07/04/27

このところ
スーパーや百貨店といった
小売業界全体の統合が話題になっています。
今日は、大丸と松坂屋の統合についてお話します。


■大丸と松坂屋の統合
日本の小売市場は、
1997年には147兆円でしたが、
2004年には133兆円に縮小しました。
今回の大丸と松坂屋の統合の背景にも、
競争相手は多いのに、全体のマーケットが
小さくなってきているので統合しないと
生き残れない状況があります。


大丸は、高島屋(1兆311億円)、
ミレニアムリーテリング(9451億円)、
三越(8420億円)に次いで、
売上4位の百貨店です。
この大丸が8位の松坂屋と統合すれば、
一気に業界1位となります。
また、伊勢丹と東急百貨店が統合すると、
こちらも1,2位を争うポジションに来ます。
こういった、生き残るために統合して
上位3位以内くらいに入りたいということも
最近の動きかと思います。


特に大丸と松坂屋の場合、
大丸は、大阪を中心に京阪神に強く、
松坂屋は、名古屋を中心に
東海地方に強い商圏を持っています。
そのため、統合しても
解雇される人数や閉店する店舗が少なく、
統合は両社にとって嬉しいことになりそうです。


ただ、歴史のある会社では、
文化も異なります。この場合、
大丸の方が松坂屋より大きいので、
松坂屋の文化を大丸の文化に合わせる
可能性がないわけでもありませんが
文化を変えることは大変に困難です。
松坂屋としては、
ビジネスをやっていく為には
ある程度規模を獲得しなくてはいけない、
しかし合併して1つの会社になるのは嫌なので、
持株会社の下に両方ともぶら下がるという形にする。
今はそんな話になっていますね。


■小売業界の厳しい現状
今、百貨店だけでなく、
スーパーでも同じ様なことが起きています。
スーパーでは、
マイカルも破綻しイオンの傘下に入りました。
セブン&アイ(昔のセブンイレブン)は
コンビニだけでなく、スーパーのヨーカ堂を持っています。
スーパー業界では、このヨーカ堂とイオングループの
2つ位しか国内勢としては残っていない状況に
なってきています。


全体的に
百貨店の売上げは9年連続マイナスです。
大都市に人口が流入し、
大都市店舗は好調ですが、
地方都市では人口も流出し、かなり厳しい経営環境です。
そのため、新規の出店はほとんどなく、
地方店や小型店は閉鎖する縮小均衡を
懸命にやっています。


百貨店は、ショッピングセンターと
戦うだけでなく、協力も始めています。
最近出ている面白い例では、
郊外のショッピングセンターに
デパ地下だけ入れるということが始まっています。
2007年3月12日には、千葉県流山市の
「流山おおたかの森SC」に高島屋のデパ地下、
横浜の「ららぽーと横浜」には、
大丸のデパ地下が入ることになりました。
郊外のショッピングセンターに「デパ地下」が入り、
高級食料品を売るという動きです。


■統合のもうひとつの背景 
今回、松坂屋が統合を進めたのは
一時、村上ファンドに襲われたことがあるからです。
村上ファンドに9.9%の株を持たれた松坂屋は
自社株の大半を買い戻しました。
見知らぬファンドに買収され、
そのいいなりになるのは嫌なので、
それなら素性の分かる大丸と統合したほうが
まだいいということです。


大丸といえば、
97年に奥田務さんが経営者になってから
大きな財務改善をしてきています。
国内で3店舗、
海外で11店舗の不採算店を閉鎖し、
人員整理を目的とする希望退職の募集、
本社一括仕入れなどを行い、百貨店業界では
大変な収益力を上げるに至りました。


松坂屋にしてみれば、
同じ業種で、自社よりも
経営が上手くいっている大丸と統合すれば、
企業価値があがるだろうという
発想もあるでしょう。


■博多大丸
では、博多大丸はどうなのか。
博多大丸は、
大丸が7割程度出資している子会社です。
今回、大丸と松坂屋が統合すれば、
共同購入などが始まります。
あるいは共同商品開発も始まるかもしれない。
となれば、現在博多の1番店は岩田屋ですが、
一緒になって岩田屋を追いかけて、
できれば抜きたいという気持ちではないでしょうか。


■敵対的買収からの防衛
最近は、ファンドから狙われている、
言葉は悪いですが、
「食われそうになっている」例は多いですね。
ビール業界ではサッポロ。
アサヒとの統合もささやかれました。
「スティールパートナーズ」という会社は、
食品業界の会社の株を山のように買って、
ひとつひとつ仕掛けていこうとしています。


別の回で、その話もしたいと思いますが、
狙われている方は、
「なぜあんな会社のいうことを
聞かなければいけないのか」と嫌がります。
この敵対的買収に対する防衛が、
多数の業界での統合の引き金になっています。


■今後の見通し
百貨店業界は、
今後統合が進んで
4つか5つのグループに集約されそうな気配です。
以前は、地域ごとに老舗百貨店とかありましたが
今は、それなりの規模がなければやっていけない状況です。
高島屋のグループ、西武とそごうを統合して作った
ミレニアムリーテリングのグループ、三越。
そして、今回の大丸、松坂屋の統合。
その他、伊勢丹がマルイや東急百貨店と統合、
阪急が阪神を統合。気が付けば、
3つ4つになってしまうということになりかねません。


スーパーは、国内企業の
2つに加え、ウォルマートという状況です。
銀行も気が付けば、3つくらいになっていましたが、
小売業界も3つか4つのグループに集約されそうですね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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