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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 資本主義はその成功によって滅ぶ(ベンチャー企業論/五十嵐)

資本主義はその成功によって滅ぶ(ベンチャー企業論/五十嵐)

07/04/26

今日から数回は、
ちょっと難しい理論的なお話をするので、
お付き合いいただきたいと思います。


資本主義がその成功によって滅ぶというのは
なかなか刺激的なテーマですよね。
これは有名な経済学者の
シュンペーターが言った話です。
シュンペーターはマルクスと同世代です。
マルクスが資本主義は
その「失敗」」によって滅ぶといって、
社会主義を唱えました。
シュンペーターはそのアンチテーゼとして、
逆に資本主義は成功するから
滅ぶのだといったことを言い出したわけです。


■社会主義の到来はなかった
今日はシュンペーターについて
少しお話しさせていただきます。
4月11日から13日にかけて
中国の温家宝の中国首相が来日されましたが、
実際に社会主義国で
今でも残っている国を数えてみますと、
中国、北朝鮮、ベトナム、あとキューバくらいかな。
ほとんど成功したとは言えませんよね。


ですから、リスナーの皆さんは歴史的な事実として、
社会主義の時代というのは、
結局は到来しなかったということを
ご理解いただきたいわけです。


シュンペーターは1883年生まれです。
彼の学生時代の友人達には
マルクス主義者が沢山いて、
彼は、友人たちに請われて
オーストリアの大蔵大臣もやったことがありました。
ただ、社会主義国になることは時期尚早だと判断して、
大蔵大臣を退任して、その後アメリカに移っています。
これはハーバード大学で、
経済学的な研究をしたいということが目的だったようです。
その研究の成果で、1942年に、冒頭でご紹介した
資本主義はその成功によって滅ぶのだといったような
ロジックが出てきたわけです。


■資本主義が成功によって滅ぶ
マルクスは、資本主義は労働者を搾取して
貧しい状態にしてしまうと、
資本主義は経済恐慌のようなことを
どんどん引き起こしてしまうといったことから
資本主義から社会主義に移行すると言うことを
提言しました。
シュンペーターは逆に、
資本主義が成功すれば成功するほど
社会主義の方に移行してしまうだろうということを
考えたわけですね。


当時はソ連をはじめ、
沢山の社会主義国が出来てきた
時代背景にありますから、
むしろ、資本主義の行き詰まりの時期でした。
ですから、そういう段階において、
シュンペーター的な考え方は
ほとんどありませんでした。


資本主義が「失敗」により社会主義に移行すると
いったマルクスに対して、
シュンペーターは、以下のように、
社会主義に移行する過程について提言しました。
資本主義が盛んになってしまうと、
どんどんどんどん中小企業から大企業の方に、
色々なことが集中してしまいます。
一時期の日本の社会に似ていますけども、
そうしてしまうと、
企業家精神だとかイノベーションに溢れる
個人というものが、大企業にリンクしてしまって、
なかなか斬新な発想などが出てこなくなってしまいます。
そして、資本主義に反対するような、
アカデミックな人達が、
反資本主義的な価値観を持って、
それをどんどんどんどん広めていくのだというようになり、
それで初めて社会主義から
資本主義の方に移行するのです。


最終的にはアメリカを中心として、現在もそうですけど、
資本主義はわが世を謳歌しているわけです。
ある意味では、
結局シュンペーターの指摘が当たっていまして、
シュンペーターは
別にこの社会主義にならない大事なこととして、
「創造的な破壊」といったようなことを言い出しています。


■創造的な破壊
資本主義から社会主義に移行しないという理由の一つに、
例えば革新的な起業家によって
新技術、技術革新がどんどん起こってきて、
古い経済状態が破壊されます。
これが「創造的な破壊」です。
それによって新たな経済設計のパターンが喪失されます。
これが継続していければ資本主義は繁栄します。
つまりはイノベーションが起これば資本主義は繁栄しますし、
起業家が沢山沢山生まれてくると、資本主義は繁栄します。
まさに今、
日本でベンチャー企業が求められているのですけども、
こういった時代になってきているのだと思います。

分野: 五十嵐伸吾准教授 |スピーカー:

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