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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 国の債務超過  (財務/村藤)

国の債務超過  (財務/村藤)

07/04/20

今日は、日本政府の財務状態は
「最低の状態」にあるということを説明します。


■中央政府の債務超過
現在、日本政府は
265兆円ほどの債務超過であると
報じられています。この債務超過とは、
「資産から借り入れ(負債)を引くと
借り入れの方が資産より多い」ということです。


では、
政府の債務超過とは一体何なのでしょうか。
まず日本の債務超過と政府の債務超過、
この区別をしてください。


日本といえば、
事業会社や銀行、家計も入りますが、
私が今日お話するのは、
日本ではなく政府の話です。
政府の中にも、
中央省庁と地方自治体がありますが、
今回お話するのは、地方ではなく中央省庁。
つまり、中央省庁が連結で
265兆円の債務超過という話です。


■日本政府の債務超過は何をもたらすか
では、日本政府は
債務超過で破綻してしまうのでしょうか。
民間企業だとキャッシュが
廻らなくなると潰れてしまいますね。
しかし、日本政府は潰れません。


なぜ潰れないのか。
今、日本政府は
国債を発行していますが、
今後さらに何百兆と発行しても、
日銀(日本銀行)が引き受けるからです。


日銀は、「通貨発行権」を持っており、
お金を輪転機で刷りながら発行し、
国債を引き受けることができます。
これによって政府は、
永遠に国債を発行し続けても
お金が入ってくることになります。


しかし、大量のお金が
発行されるのですから、インフレが生じます。
インフレになり、物価が高くなると
我々国民は困ることになりますが、
中央政府は絶対に破綻しません。


■国債は「国の借金」ではなく「中央政府の借金」である
一般的に、
国債は国の借金と言われます。
今、それがどんどん乱発されています。
安倍総理が国債を抑えたと言っても、
増えるのを少なくしただけで、
減らし始めているわけではありません。
また、国債は国の借金ではなく、
政府さらには「中央政府」の借金です。


本来であれば、
政府は、家計、事業会社、銀行から
取り立てた税金だけで、借り入れをせずに
行政サービスを提供することもできるはずです。
しかし、税金でまかなえる以上の
行政サービスを提供しようとすれば、
国債の発行や銀行借り入れをする必要が出てきます。


今の日本政府は、
国債の発行や銀行からの借り入れをして、
過去の世代のために
行政サービスを提供してきました。
その結果、政府の借金が膨らみ、
若手としてみれば、先輩の世代が作った借金を
これから返せといわれている。
これが債務超過であり、世代間の問題といえます。


■中央政府の財務状況の実態
では、
265兆円という数字は
どこからでてきたのでしょうか。
中央省庁は、省庁別の財務が分かる
「省庁別財務諸表」を2003年度から公開しています。
これによって、中央省庁全体の
財務状況が見えるようになったのですが、
おそらく2004年度末の債務超過265兆円は、
帳簿上の見せかけだけで、実態を時価で見れば
本当はもっと多いはずです。


実際には、政府の資産には、
不良資産が50兆~100兆円程度あり、
年金には引当不足が
500兆円くらいあると考えられています。
不良資産を50兆円と見積もっても、
帳簿上の約250兆円に
不良資産引当不足の50兆円と
年金債務の引当不足の500兆円を足して800兆円。
債務超過を解消するには、800兆円が必要です。


■中央政府の最適資金調達構成
債務超過を解消すれば
それで財務が健全化するというわけではありません。
政府は、ちょうどいい
有利子負債と正味資産の比率を考え、
そこを目指す必要があります。
地方の道路、海や山などは、
有利子負債で支えるものではありません。
使用している国民の誰もが
それにお金を払うつもりがないからです。


一方、高速道路や住宅ローンであれば、
国民も「お金を払ってもいい」と思います。
政府の持つ資産の中で収入の見込めるものは、
少しは有利子負債で支えてもよいかもしれません。
しかし、そういった収入の見込める資産はあまりありません。
したがって、今ある政府の資産のほとんどは、
正味資産で支えなければいけない、ということになります。


おそらく、中央政府にとって
最適な有利子負債の金額にたどり着くには
800兆ではなく、それに数百兆足した
1,000兆以上のお金を返済する必要があります。
そうでなければ、中央政府のバランスシートは
最適な資金調達構成にならないでしょう。
これを日本人が1億人いると仮定して
「国民1人あたり」を計算すれば、
1人あたり1,000万円くらいを
政府に寄付しなさい、という話です。


今も、中央政府の負債は拡大しています。
若者にとっては、先輩方が勝手に作った借金を
返さなくてはいけないことになります。
これはふざけた話だと思いますが、
我々はもう事実上返さなくてはいけなくなっている。
では、どうすればよいのか。


■「官から民へ」事業を移す
今のように
政府が現業を自分でやっていては、
たいした借金の返済はできません。
私は数百兆円分の政府の資産を
民間に移さないことには、
日本政府は、持たないと思っています。


例えば、資産の売却だけでも
100兆円くらいいけるはずです。
それから公営事業も移せます。
公営事業でも公的金融機関でも、
今政府がやっている現業は
ほとんど全部民間に移行させることができます。
政府は企画と進捗管理に特化し、
現業は民間に移転すればいいのです。
厚生労働省の行政サービスのうち現業部分は、
年金にしても医療にしてもほぼ全部民間で出来ます。
移すとは、そういう意味です。


小泉前総理が
「官から民へ」と言っていましたが、
これは間違いなく正しい方向です。
今でも、異論を唱える人はいたりしますが、
「官から民へ」現業を移して
政府を小さくしない限り、財政再建は
できない状況になってきていると思いますね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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