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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グローバリゼーション3.0時代における九州の未来 (アジアビジネス/永池)

グローバリゼーション3.0時代における九州の未来 (アジアビジネス/永池)

06/12/27

■グローバリゼーション3.0は都市間競争を変える
これからの時代、私たちの仕事は何らかの形で世界と繋がってきます。
つまり、世界中に繋がった仕事の輪の一部を
私たちが分担する形になっていきます。
その輪の中に参加できるためには
私たちにどのような能力が必要となるか
ということに関するお話をしてきました。
このことは地域の繁栄についても同様であると言えます。


都市や地域が今後繁栄していくためには、
世界のヒト、モノ、カネが
その都市や地域に入ってこなければなりません。
そのためにこれまでは
政府がオリンピックや万博といった巨大なイベントを、
住民の税金を使ってやってきました。
しかし、このような手法は20世紀までの考え方であり、
時代遅れの感があります。


現在、世界で繁栄している場所、
例えば上海でも大連でも、
毎日黙っていても世界中から
沢山の人や企業やおびただしいお金が流入しています。
なぜそうなるのかというと、
端的にいえばそこが儲かるからです。


結局、21世紀の都市や地域の繁栄というのは、
政府や納税者の税金で作るものではなく、
世界中で有り余っている資金、
そして人材を引き寄せ、
外部の資源で自分の都市や地域を
発展させるための競争に勝つこと、といえるでしょう。


そして、その為には世界中の投資家や企業が、
あの地域に行けばこういうメリットがある
といったようなブランドを構築していく必要があります。
すなわち、世界中から企業や投資、
あるいは情報や人を呼び込むための様々な仕組み、
あるいは強みを持った産業の確立、
世界中の企業が欲しくなるような
人材の供給といった魅力ある何かを整えることが求められます。


そして、これまでに紹介してきた中国の都市、
インドのバンガロール、シンガポール、
アイルランドといった都市というのは
そういう視点でのうまくやっている最たる例であると思います。


例えば、大連は前回お話したように
豊富な日本語人口を活かして
コールセンター等の代行業務で先頭を走っている上に、
観光面でも非常に好調です。
ヨーロッパの事例では、
アイルランドはかつて非常に貧しい農業国でした。
しかし電話線さえ繋がっていれば
世界に繋がる仕事が出来るということが分かったことで、
政府は子供から老人までの全ての国民に
コンピュータの技術を身につけることを奨励しました。
その結果、今では黙っていても
世界中の企業が代行サービスを求めてやってくる国になっています。


■九州が世界と競争するための条件
このような状況が進む中で、
九州が世界を引きつける為に必要な要素を考えてみます。
九州は一体化すれば、
上に挙げた国や都市よりも遙かに大きな潜在力を持っており、
世界と競争するための土壌は揃っています。
それでは九州が今後、どのような方向へ進むべきなのか、
繁栄している都市の条件を列記することでまとめとします。


(1)国際空港、そして国際貿易を支えられる
大規模かつ効率的機能をそなえた港湾施設、
さらに良好な域内交通インフラ、快適な生活環境、優秀な人材。


(2)良い学生をひきつけることができ、
高度に訓練された働き手である卒業生を
送り出すことができる大学および研究施設。
外国企業をひきつける技術力・ノウハウ・人材の存在。


(3)外国人をいつでも快く受け入れる風土や寛容性。
世界と共存し迎え入れる国際性を持ち、
外国人やその家族が快適に居住するための
生活や教育のインフラを備えていること。


(4)何らかの世界水準の優位性、
つまり尖った特徴を身につけること。
直接投資で進出先を検討する世界の企業は、
世界のどこに拠点を持つかを調査し、
有力候補地が記載されたリストを持っています。
そのリストの上位に九州を入れてもらえるだけの
特徴や優位性(尖った部分)を持つことが求められます。


(5)地名にブランドを持たせること。
九州を世界中の人々に知ってもらうことです。
九州はまだ世界的には知られていません。
その地域が成功を収めるためには、
効果的なマーケティング戦略が求められます。
その実行には優れた
「マーケティング・マネージャー」の存在が不可欠です。
アメリカでは州知事であったり、
中国の場合では市長であったりします。
彼らの役割は、地域の違いを理解し、
自分の地域が持つ明確な特徴や優位性を
世界に発信し、売り込むことです。


(6)世界的に何か強い競争力を持つこと
その企画と実行に当たっては官・産・学が一体になり、
様々なアイディアや専門知識を駆使して
世界にアピールするものを明確化する必要があります。
有名人がいれば、その人をうまく使う。
例えばデル・コンピュータ社の創立者マイケル・デルの出現は
テキサスの片田舎であったオースティンを
一躍世界的に有名な都市に押し上げ、繁栄しています。


(7)九州が一つになって初めて実現できる
九州は非常に大きな潜在能力を持っています。
九州は今後、県単位にバラバラに動くのではなく、
一つの地域単位として一体となる(道州制の導入)こと。
そして、更なる成長のために
自分の身体検査(自己診断)をきちんと行い、
世界的にみてどこが優れているのか、
どこを伸ばすべきかを明らかにし、
そこを重点的に伸ばしていくというビジョンと戦略が重要となります。


(8)一点突破の強みを持てば黙っていても来てくれる。
世界から見て並の強みしかない、
特に目立った特徴やうまみもない、では
いくら頭を下げても、売り込んでも誰も来てくれないし、
投資もしてくれません。
例をひとつ上げましょう。
例えば、福岡に世界最先端の医療技術や
外科手術能力のある病院や大学が一つあれば、
アジア中の患者が黙っていても飛行機で飛んでくるでしょう。
そんな強みを持つことが都市の繁栄に繋がるのです。
今、世界中の都市や地域は世界のマネーやヒトを獲得するため、
必死の競争を繰り広げているのです。
アジアの都市や地域も例外ではありません。
九州もその競争に打ち勝たないと繁栄を望むことはできません。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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