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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 消費者金融金利のその後 (財務/村藤)

消費者金融金利のその後 (財務/村藤)

06/11/24

7月の放送において
消費者金融の金利が下がりそうだ
というお話をしましたが、
今回はこの問題がその後どうなったのか
というお話をしたいと思います。
大雑把に言うと、紆余曲折を経て、
結局元の青写真に近い状況になっています。


■ ロビー活動と特例措置

当初はグレーゾーン金利の
即時撤廃という話だったのですが、
その後金融庁は、移行期間を設ける
特例措置案を提示しました。


それは、日本商店連盟(日商連)や
日本専門店会連盟(日専連)などが
金融庁や議員会館に日参し、
懸命にロビー活動を行ったためです。
日商連や日専連は、商店街で
クレジットカード事業を展開しています。
このままでは商店街が立ち行かなくなる
ということで、手厚い特例を作るよう訴えました。
さらに、商工族と呼ばれる議員らもこれを援護しました。

 
これに困った金融庁は、「急に上限金利を下げて
お金を借りられなくなる人が大量に発生すると困る」
との名目で、特例を盛り込むことにしました。
その特例とは、上限金利を出資法の29.2%から
利息制限法の20%(10万円未満の場合)に下げるまでに、

① 法改正から施行までに1年、
② 施行から準備期間として3年
をおき、さらに
③ その後、少額短期融資の特例期間として5年
をおくというものです。

この特例期間は、個人向けの小額短期融資や
事業者向けの緊急融資については、
28%の金利を認めるというのです。
尚、個人向けの小額短期融資とは、
貸付額50万円以下、返済期間は1年以内で
担保や保証人をつけない場合を指します。


つまり、28%程度の金利で
9年の移行期間を設けてはどうか
という案を提示したわけです。


■ 内外からの反発と特例措置の修正

これでは元々の法律の主旨に反するじゃないか
ということで猛反発したのが
自民党の若手議員や弁護士会、
消費者金融の被害者団体などでした。
さらに、当の金融庁の政務官であった
後藤田氏がこの案に嫌悪感を示し、
政務官を辞任するという騒動まで起こってしまいます。


これに困った金融庁は、
9月半ばに新たな案を提示しました。
移行期間が長すぎるのであれば
もう少し短くしようということで、
②の準備期間を2年半に、
③の特例期間を2年に短縮、
法成立から特例措置終了までの期間を
合計9年から5年半に減らしています。
また、特例期間の金利についても
28%から25.5%に下げ、
貸付額も個人向けについては
50万円から30万円に減らしました。


こうして金融庁は、日本的に
中間を取った妥協案による解決を試みたのです。


■ 結局元の青写真へ

ところが驚くべきことに、金融庁としては
特例措置の恩恵を受けるだろう
と考えていた貸金業者から、
特例期間が2年ではかえって
システム導入の負担が重い、
2年ならば特例期間は必要ない、
と批判の声が上がり、
金融庁は立場を失ってしまいます。


自民党の若手議員、弁護士会、
消費者団体の怒りもおさまりを見せず、
あくまで強硬に特例措置に反対しました。
また、民主党も、特例金利を認めず、
あくまでグレーゾーン金利を即時撤廃すべし
との方針を掲げました。
10月25日、自民公明両党は
「ここで野党に材料を与える必要はないし、
強行採決でなく今国会で成立させることが重要」
との見解で一致します。
こうして、特例措置の導入は
見送られることとなったのです。
尚、特例措置の対象者は
消費者金融利用者1400万人中の
80万人程度と見られていたので、
撤回による影響は少ないものと見られています。


ただし、自民党の商工族に配慮して、
3年後をめどに特例措置導入のための
見直しの可能性を残している点は特筆に値するでしょう。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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