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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 福銀の拡大戦略 (財務/村藤)

福銀の拡大戦略 (財務/村藤)

06/11/10

今回は、福岡銀行の拡大戦略という話をしていきたいと思います。


■ 福岡銀行 対 西日本シティ銀行 の拡大競争

今年4月に西日本シティ銀行が
大分県の豊和銀行との資本・業務提携を発表しましたが、
その翌月に福岡銀行は
熊本ファミリー銀行との経営統合を発表しました。
福岡銀行と西日本シティ銀行の
拡大競争が始まったかと思っていたところに、
10月にはさらに福岡銀行が
九州親和ホールディングスとの資本・業務提携を発表。
競争はいよいよ熱を帯びてきています。


■ 福岡銀行は西南へ、西日本シティ銀行は東南へ

今回福岡銀行が提携を発表した九州親和ホールディングスは、
長崎に地盤を置く銀行です。
また、同じく福岡銀行が経営統合を発表した
熊本ファミリー銀行の地盤は熊本。
その意味で、福岡銀行は
どちらかというと西南に向って拡大していると言えます。


一方の西日本シティ銀行は、
提携を発表したのが大分の豊和銀行ですから、
東南に向って拡大しているということになります。
福岡銀行の地域的拡大を受けて、
おそらく次は西日本シティ銀行が
何か言いたいところだと思います。
西日本シティ銀行が次にどこと
提携ないし経営統合等を行うのか、
非常に楽しみなところです。


■ 福岡銀行、地銀日本一へ

今回福岡銀行が提携することになった
九州親和ホールディングスというのは、
現在経営統合を進めている熊本ファミリー銀行の
約2倍の資産規模の銀行です。


10月に資本・業務提携を発表し、
まずは70億円程度を出資して、
12.6%を保有する筆頭株主になったわけですが、
これで終わりというわけではなくて、
年内には300億円程度の第三者割当を引き受け、
さらに一歩を進めることを予定しています。
尚、第三者割当の引き受けについては、
ジェイ・ウィル・パートナーズという、
国内の投資ファンドと一緒に行うことになっています。


第三者割り当ては、
普通株ではなく優先株にて行われるようです。
優先株とは、配当金を優先的に受け取れる代わりに、
議決権(経営への参加権)が制限される株ですが、
転換権付優先株という形で
普通株への転換権が付くことが多いようです。


仮に転換権が付いて、それが普通株に転換されれば、
西日本シティ銀行の議決権は過半数を超える見込です。
はじめは議決権を持たなくても、
後で優先株から普通株へと転換すれば、
九州親和ホールディングスを傘下に治めることになるのです。
熊本ファミリー銀行との統合を進めながら、
九州親和ホールディングスへの出資比率の
引き上げについて判断するのだろうというのが大方の見方です。


福岡銀行の谷頭取は、
「今回の目的は地域金融システムの安定化で、
熊本ファミリー銀行の時のように経営統合を前提にしていないが、
関係が深まればシナジー効果が期待できる。」
と述べています。しかし、以前から谷頭取は
「目指すのは、九州一でなく地銀日本一。」
とも述べていますから、
将来の統合の可能性は十分ありうると考えられます。


現在は総資産10.8兆円の横浜銀行が
地方銀行のナンバーワンですが、
九州親和ホールディングスを傘下に治めれば、
福岡銀行はグループ総資産で11.5兆円となり、
地方銀行ナンバーワンとなります。


■ 中小零細企業への対応は大丈夫?

ただ、規模が大きくなっていく上で懸念されるのは、
地方の中小零細企業にとっては命綱である地方銀行が、
これまで通りサービスを維持出来るのかどうかということです。
これは懸念がもっともな一方で、
金融庁が中小企業貸出を減らさないように
規制をしはじめるという側面もあるため、
今後どうなるかが注目されます。


来年の4月2日(1日は日曜日)に
熊本ファミリー銀行と統合することになっている福岡銀行ですが、
すでに熊本に営業本部を設置し、
熊本ファミリー銀行と共に顧客回りを始めています。
ここで最初に狙うのは恐らく大口の顧客でしょう。
そういった中でこれまで通り中小零細企業への
貸し出しサービスを行っていけるのかというと、
大口の顧客を優先していく可能性は
やはり否定できないと思います。


ただし、政治の圧力を受けて、
中小零細企業や個人に対し
沢山貸出しを行わせようとする
金融庁の動きもあります。
年末に導入が予定されている
新たな自己資本比率規制のもとでは、
中小企業や個人への
貸出しにリスク・ウェイトが低く設定されており、
中小企業や個人に貸した方が、
自己資本比率の縛りが緩くります。


■ 注目される西日本シティ銀行の次の動き

拡大競争の最初の口火を切ったのは西日本シティ銀行です。
西日本銀行と福岡シティ銀行が合併し、
あと一行どこか大きい銀行と手を結べば、
それこそ福岡銀行を追い抜いてしまうというような勢いでした。
しかし既述のように、西日本シティ銀行の
豊和銀行との提携発表後、
福岡銀行が、熊本ファミリー銀行との経営統合、
九州親和ホールディングスとの提携を
立て続けに進めていきました。
西日本シティ銀行にしてみれば、
これ以上引き離されたくないところでしょう。


そもそも、豊和銀行自体が
(九州親和ホールディングスの半分程度の資産規模である)
熊本ファミリー銀行の半分くらいの資産規模です。
豊和銀行は自己資本比率も低く、
9月29日には公的資金の注入を申請しています。
(これに対し、金融庁は10月20日に
90億円の公的資金注入を発表しました。)
西日本シティ銀行としては、
まずは金融庁に資金を注入してもらって、
少し不良債権処理を行ってから
傘下に治めたいと考えてしまうのが、
提携した豊和銀行の現状です。


一方の福岡銀行はというと、
熊本ファミリー銀行に対する注入資金を
事実上自行で負担している状況です。
こういったことを鑑みても、
西日本シティ銀行はかなり大きなこと行わないと、
福岡銀行になかなか
追いつかないのではないかと思われます。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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