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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 地価は上がり始めたか (財務/村藤)

地価は上がり始めたか (財務/村藤)

06/11/03

今回は、地価は本当に上がり始めたかどうか
というお話をしたいと思います。


■ 地価の種類

そもそも地価には、「公示地価」「基準地価」、
あるいは「路線価」「固定資産税評価額」などがあります。


「公示地価」とは、1月1日時点での地価について、
国土庁が全国約3万地点を調査したものです。
これに対し、「基準地価」とは、
全国2万5346地点の地価を、
不動産鑑定士の意見を参考に、
都道府県が7月1日時点で調査したものです。
これらの地価は市場の取引価格とされます。


一方「路線価」とは、国税庁が調査し、
相続税の評価に利用されるもので、
市場地価である公示地価や基準地価と比較して、
2割くらい低めの約8割に設定されているといわれています。
また、「固定資産税評価額」は、
基準地価や公示地価などと比較して、
3割ぐらい低めの約7割に設定されているといわれています。


■ 一部の地域は上がっているが、全体では下がっている

先日、基準地価が発表されましたが、これによると、
東京、大阪、名古屋の三大都市圏では
商業地に加え、住宅地も上昇に転じ、
平均地価が1990年以来16年ぶりに上昇しました。


しかしながら、全国平均で見てみると、
1990年以降15年連続で下がり続けています。
(ただし、基準地価の変動率は、
調査地点の変動率を単純平均して
計算されていることに注意が必要です。
土地価格を合計して平均地価を算出すると、
3大都市圏の割合が大きいため、地価は
全国でも反転している可能性も出てきています。)


こういった地価の推移について考える場合には、
バブルの発生と崩壊に伴う経緯を見ておく必要があります。
実は、15年もの長きに渡り地価が下がり続ける一因には、
バブルの発生によってとんでもなく上がってしまったので、
その崩壊によって元に戻ってしまったということがあるのです。


■ バブルによる地価の高騰

86年には日本の土地総額は1322兆円でした。
これが90年には2456兆と、
4年間でなんと1134兆円も増加したのです。


これは、単純に計算すれば
1年平均284兆円の上昇ということになります。
日本のGDPが500兆円程度とすれば、
当時の土地の増加分は1年あたりGDPの
5~6割にあたるわけです。
毎年GDPが1%、2%上がるか下がるかで
大騒ぎしていることを考えれば、
このことがいかにとんでもないことなのか
ということがお分かり頂けるでしょう。


ピーク時、日本の土地総額は2500兆円に近づきました。
当時のアメリカの土地総額が500兆円ですから、
日本全土はアメリカ全土のなんと
5倍近い値段がついていたことになります。
日本の面積はアメリカの面積の1/25程度ですから、
面積あたりだと実に125倍近い値段が付いていたという、
異常な状況が発生していたわけです。


■ バブル崩壊と地価の下落

しかし、やがてバブルは崩壊し、
90年には2400兆円を超えていた日本の土地総額は、
04年までに約1200兆円に半減しました。
土地、株式を合計すると、ピーク時から
約1500兆円もの資産が失われてしまいました。
これは、GDPの3倍に相当する損失です。


一方で有利子負債は増加しました。
資産と同様に下がってくれればよかったのですが、
残念ながら一旦借りたら返済しなければ
金利で増えていくというのが有利子負債です。
90年の約3100兆円から2004年の約4000兆円へと、
約900兆円増加しました。


有利子負債は86年に約2200兆円で、
バブル発生期の90年までの4年で
土地株等のバブル資産購入のために
約900兆円増加しています。
これをあわせると、バブルの発生と崩壊によって、
有利子負債は約1800兆円増加したことになります。


つまり、バブルの発生と崩壊は、
資産や正味資産の急上昇と急下落に加えて、
有利子負債を急速に増加させ、
事業会社、金融機関、政府の資本構成を
急激に悪化させてしまったのです。


■ 二極化と、全体としての低下傾向

最近の状態ですが、
大手事業会社と大手金融機関を中心に、
事業会社セクターと金融機関セクターは
立ち直りつつあるのですが、
政府の財務は悪化したままになっています。


地価の先高感が土地の売り惜しみを招くことで
値段が上がっている部分もあるようですが、
人気の地域では土地開発のために、
ミニバブルといえるような
急激な値上がりが見られ始めています。
(ただし、バブルの発生期とは異なり、
上がるから買うのではなく、
フローに見合った利用価値しかついていない
という主張もあります。)


しかし、一方で地価が下がり続けて、
上がる気配が全く見えない地域も多かったりします。
一部の大都市圏では土地価格の反転が始まりましたが、
日本全体としては、土地バブルは
なお崩壊が継続していると言えます。
日本の土地総額がGDPの1~2倍に収まるとすれば、
日本の土地総額はあと
200~700兆円程度低下してもおかしくありません。


■ 今後の地価

今後、地価はどうなるのかという話ですが、
たとえば道州制が進んで、
人が3大都市圏から道州の中心地に移れば、
三大都市圏の地価が下がってくる可能性も
ないわけではありません。
その意味で、地価の二極化の行方については、
地方分権というものが一つの鍵を握っていると言えるでしょう。


日本全体で見た時、少子高齢化と人口減少により、
土地の買い手は少なくなるはずです。
ですが、景気回復による実需に対応した
オフィスビルの土地開発が
三大都市圏を中心に増加していることは
既にお話した通りです。
さらに日本がアジアの成長に乗ることができれば、
地価の継続的な上昇というものも
期待できるかも知れません。


しかし、日本経済が、アジアの成長に乗りそこなって
不況に陥れば、不動産開発が止まり、人口減少で
不動産の買い手もいなくなってしまう
という可能性もあります。つまり、
昔と違って、土地を買っておけば安心
という時代ではなくなったということです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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