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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > サイエンスコミュニケーションの重要性 (産学連携/高田)

サイエンスコミュニケーションの重要性 (産学連携/高田)

06/11/02

先日、ある学会に参加したのですが、そこで
「サイエンスコミュニケーション」の重要性について
ずいぶん議論されていました。
今回はこのお話をしていきたいと思います。


■ サイエンスコミュニケーション

一般に、科学技術が発達するということは、
社会にとって望ましいことだと思います。
けれど、発達すればするほど
科学技術は複雑になってしまい、
一般の方に分からなくなってしまう
という問題があります。
「サイエンスコミュニケーション」とは、
科学技術をめぐる社会的課題や面白さなどを、
きちんと一般社会に伝えていきましょう、
という考え方です。


最近、このサイエンスコミュニケーションを
後押しする試みが増え始めています。
例えば、“世界一受けたい授業”
というTV番組の放送はその一例でしょう。


また、身近な例を挙げると、
福岡県では“サイエンスマンス”と称して、
毎年秋に科学技術の重要性を
県民に伝えるイベントを実施しています。


また、手前味噌になりますが、
九州大学においても
「ノーベル賞フォーラム」と言って、
ノーベル賞受賞者の方々を九州にお招きし、
先端科学技術の重要性についてお話をしてもらう
というような取り組みが行われています。
一般の方を対象とした取り組みは
今、全国で増えています。


■ サイエンスコミュニケーションの難しさ

このように、科学者と市民が直接対話する場を設けると、
科学技術に対する市民の理解を得ることの
重要性やその難しさが浮き彫りになります。


先日私が参加した学会のパネルディスカッションで、
北海道大学の先生が話されていたことが
興味深かったので紹介します。
それは、北海道の“サイエンスカフェ“
(科学者と一般市民がコーヒーでも飲みながら
科学技術について対話をする催し)で、
大学の科学者が市民に対して
”近赤外線“について話をしたときのことです。


「近赤外線とは、波長がどうで、それによって・・・・云々」
という専門的な話だけだとコミュニケーションにならないので、
その先生なりに工夫して、
近赤外線が身近にどのように応用されているか
という例として”フルーツセレクター“という
果物の甘み成分を検出する装置に
応用されていることを紹介しました。


科学者としては、これによって科学技術が
市民生活に密接に関わっていることを
伝えようとしたつもりでしたが、
その場にいたある参加者から、
「『旨い』という感覚まで他人に決められてしまう
ということですね。」と言われてしまって、
その科学者は困ってしまったそうです。


科学技術の必要性や重要性について
市民に理解してもらう場合には、
専門性の問題もさることながら、
目線の違いというものも
非常に大きな障壁となりえます。


そういった意味においても、
科学者と市民とが、日頃から
きちんとコミュニケーションをとるということは
重要なことだと考えます。
最先端の技術であっても、
科学者はそれを市民目線で見ておくこと、
そして、市民のほうもそれを理解出来る
ということがやはり必要なのではないでしょうか。


■ ドイツ博物館のとりくみ

外国の例ですが、ドイツのミュンヘンには、
“ドイツ博物館“という非常に大きな博物館があり、
1日では回りきれないほどの
様々な展示がなされています。
それこそ、総合大学の理系学部で教える内容を
取りそろえたような展示物です。


面白いのは、例えばボタンを押すと化学反応が起こったり、
電話機がなぜ特定の番号につながるのかということが
動く模型を使って説明してあったり、
昔のレンガづくりの大きな橋はどうやって造られて
なぜ長い間壊れないのかがわかるような模型が置いてあったりと、
博物館の展示物が非常にリアルで、
ものによっては直接触ることもできるという点です。


ここでは、親が目の前の展示物について、
自分の子供に熱心に説明する
といった姿があちこちで見られます。
このような博物館の存在は、
サイエンスコミュニケーションを促す仕掛けとして
非常に有用ではないでしょうか。


■ 幼少時からのサイエンスコミュニケーションの必要性

私自身は、サイエンスコミュニケーションは
小さなこどもを相手に、
かなり力を入れて行うべきだと思います。


こどもの理科離れが叫ばれて久しいですが、
実は、日本人の多くの大人が、“英語アレルギー”
とおなじくらい“科学技術アレルギー”
を持っているのではないでしょうか。
ですが、本当はそういう
苦手意識を持つ必要は全くないと思うのです。


科学技術というものを、特にこどもの頃から
もっと身近に触れられるような場があり、
分り易く、科学技術に興味を持ち、
基礎的知識を持てるようなコミュニケーションを
しっかり行っていくことができれば、その成長において
不必要に科学技術アレルギーを持つこともなくなり、
サイエンスコミュニケーションは
もっともっとうまくいくのではないかと思います。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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