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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 深刻化する中国の環境・資源問題-経済成長への最大のアキレス腱-(中国ビジネス/永池)

深刻化する中国の環境・資源問題-経済成長への最大のアキレス腱-(中国ビジネス/永池)

06/11/29

現在、中国は世界も目を見張る
高度経済成長を謳歌していますが、
これからの経済成長には
「三つのアキレス腱」があるといわれています。


まず一つ目は貧富の差の拡大です。
これは将来的に共産党政権を
揺るがす問題となる恐れを内包しています。
二つ目は過剰投資によるバブル経済の発生です。
北京オリンピック(2008年)、
上海万博(2010年)の終了後に
バブル経済がはじける恐れがあります。
そして三つ目が資源の制約と環境破壊問題です。
私はこの第三の問題が
最も大きなアキレス腱になるとみています。
そこで、今日はこの環境・資源問題に関するお話をしたいと思います。


■非効率的な中国のエネルギー事情
中国のGDP一単位あたりのエネルギー消費量は、
実に日本の8倍となっています。
これはすなわち、経済が1%
成長するために必要なエネルギーが
日本の8倍必要ということを意味しており、
非常に効率が悪い(資源多消費型経済)といわざるを得ません。


OECDと国際エネルギー機関(IEA)が発表した
2020年の中国のエネルギー消費量(石油換算)予測では、
中国がこれまでどおりの経済成長を
達成するために必要な量は従来の予測を遥かに上回る
20億7200万トンと見込まれています。
また、中国政府自身は
さらにそれを上回る25億トンに上方修正しており、
このままでは資源エネルギー問題によって
中国の経済成長が危ぶまれると考えられます。


さらに中国の場合、エネルギー消費のうちで
最大の消費産業である電力が
石炭火力発電中心であるいうことで、
石炭消費が拡大することによる
大気汚染や酸性雨といった
環境面での深刻な問題が発生しています。
この傾向は今後更に強まると予想され、
抜本的な環境関連技術や省エネ技術の革新なしでは、
中国の高度経済成長は持続不可能であると思われます。


■環境汚染が深刻な水資源
また、一方で水資源も深刻な問題と認識されています。
これは、中国全土の都市の3分の2が
水不足であるという状況に加えて、
洪水問題、水質汚染といった
水に関する環境の悪化が懸念されています。


例えば揚子江(長江)は
黄河と並ぶ中国古代文明発祥の地ですが、
河川の負荷を遥かに超えた生活産業排水の流入や、
大量のごみや産業廃棄物の投棄が行なわれています。
現在のように大量の有機物を
垂れ流すことを続けてしまうと、
10年後には巨大な排水溝にならざるをえず、
河川の生物が絶滅する可能性もあります。
黄河は十年前から水量が激減しています。


中国政府もこれではいけないということで、
資源の投入量の最小化、
廃棄物利用の最大化、汚染排出量の最小化という
三つの原則を打ち出してはいますが、
しかしながら関連技術開発の遅れや関連法規の整備、
そして国民の意識改革といったことが
追いついていないというのが現状です。


■日中共同による環境改善
かつて、日本でも水俣病などの
公害病の発生が社会問題になりました。
しかし日本の場合は公害防止規制や省エネ規制、
近年では地球環境保全ルールや循環経済ルールといった、
日本政府による世界的に見ても
非常に厳しい規制政策が発動され、
企業はそれらの問題をその都度
プラスに変えてその基準達成に
努力してきたという経緯があります。
公害問題といったものは、
日本企業にとっては外的なショックといえるでしょうが、
企業が問題をポジティブに捉えて
公害防止技術開発や対策を行なったことで、
産業構造の高度化や省資源、
高付加価値型経済の実現を可能としてきました。
その結果、日本の企業の競争力は
逆に向上したといえるでしょう。
さらに、省エネ技術の向上やエコカーなどの
環境に配慮した技術の開発によって、
企業のブランド力の向上にも役立っています。


本来であれば、日本のように環境保全と経済成長とが
両立する考え方が重要なのですが、
中国の場合はまず成長、
公害対策はその後でもいいやという順列になっているため、
このままでは取り返しの付かない状況になると思われます。


中国の環境・エネルギー問題の深刻化は
日本にも様々な影響があります。
そこで、日本と中国は2年前に、
中国の環境保全技術の向上で合意し、
日本の環境技術をもっと活用すべきということで
日中環境エネルギーシステム促進機構が設立されました。
中国の環境問題やエネルギー問題は
日本の問題でもあるということで、
両国が一緒になって改善していこうという
試みが行なわれています。
地元九州でも北九州市や福岡市は
大連や中国の都市との間で
環境や省エネに関する対中協力を推進しています。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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