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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > アメリカの“先発明主義”の終焉 (産学連携/高田)

アメリカの“先発明主義”の終焉 (産学連携/高田)

06/10/12

先日ニュースで報じられましたが、
これまで独自の特許制度をとってきたアメリカが、
ついに世界基準に合わせるということを発表しました。
今回はこのお話をしていきたいと思います。


■ 世界基準とアメリカの基準

一般に、特許が認められるためには、
いつ発明したかということが重要になりますが、
この基準に関し、世界とアメリカの制度には
根本的な相違があります。


そもそも世界基準とは何なのかということですが、
これは、各国の特許庁に対して
出願申請書類を提出した日を優先日として認めましょう
という考え方に立っています。
この考え方は「先出願主義」と呼ばれます。
いつ特許出願したかということ自体は
明確に示すことが可能ですから、
この基準は透明性が高く、
もめ事が少ない方法だと考えられます。


一方、アメリカはこれまで
「先発明主義」というものを主張してきました。
これは、先に発明した日時が優先されるという考え方です。


■ アメリカの基準の問題点

「先発明主義」において問題となるのは、
いつ発明したのかを証明するのが困難だということです。
実際、このことがもとになって
非常にたくさんの訴訟が起きています。


あるいは、ある特許が成立していたとしても、
後になって先に発明していたという人が現れると、
特許の権利者が突然変わったりする
という事態も起こり得るのです。


また、アメリカの特許制度のスキを突いた、
俗に「サブマリン特許」と呼ばれる特許があります。
世界基準では、基本的には出願から1年半経ったら
特許内容を公開する義務があります。
しかし、アメリカの基準のもとでは、
特許は申請されているけれど、
審査中であることを理由に
特許の中身が公開されないということがあり、
どこにどんな特許が潜っているのか分からない
という状況が生じうるのです。


申請された特許技術が市場に広まり、
みんながそれを使い出した頃に、
まるで潜水していたサブマリンが
浮上するかのごとく現れ、
突然、特許料の支払いを要求してくるのです。
日系企業の中にも、この「サブマリン特許」に
痛い目に遭わされたところがたくさんあるようです。


こういったことは企業にとって
たいへん困った問題ですから、
アメリカに対して、世界中から
改善要求がなされてきました。
しかし、これまでアメリカは
頑としてこれを聞き入れてきませんでした。


ですが、各国が主張を続けてきた結果、
ついにアメリカが折れることになり、
今回アメリカも世界標準に合わせる
という腹をくくるに至ったのです。


■ アメリカが「先発明主義」を固持してきた理由

アメリカが頑固に独自のシステムを取ってきた理由に関しては
諸説あるようですが、その一つとして、
アメリカの建国以来の「フロンティア精神」
というものが根底にあるのだという見方もあるようです。
つまり、西部開拓時代には、
新たな土地を見つけ、開拓した人が
その土地を手に入れることが行われていましたが、
この「フロンティア精神」のために、
特許についても先に発明した人が
それを手に入れることができるとの考え方があるようです。


それに、西部で見つけた土地を
登記手続きを行う役所まで赴いて
手続きを行うだけでもずいぶん時間がかかってしまいます。
従って、“いつ見つけたか”ということが、
“いつ手続きを行ったか”ということに優先される
というルールになったのかも知れません。


■「世界特許」の可能性

国際特許というものは
多大な時間やお金を要するため、
現在企業はたいへんな負担を余儀なくされています。


しかし、今回のアメリカの方針転換により、
究極的には「世界特許」の実現も視野に入ってきました。
つまり、今後、世界各国が協調しながら
特許制度の整合をしっかり進めれば、
「どこかの国で特許出願すれば、それが世界中で認められる」
というような制度が成立する可能性が見えてきたということです。


この意味でも、今回のお話は特許の世界に
非常に大きなインパクトを与えたと言えます。
今後、特許の世界でどのような変化が起きていくのか、
非常に注目されるところです。



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分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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