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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > みすずとあらた (村藤/財務)

みすずとあらた (村藤/財務)

06/10/06

以前、金融庁が中央青山監査法人に対し
業務停止命令を出したと言う話をしましたが、
この問題はその後どうなったのでしょうか。
今回はこのことについてお話ししていきたいと思います。


■ 業務停止命令による騒動

中央青山の業務停止命令により、
中央青山の持つ約2,300の顧客に対する監査契約が
一旦無効になってしまいました。このことにより、
顧客の間で、このまま中央青山に留まるべきか、
それとも他の監査法人に契約を移すべきか、
ということで、ちょっとした騒ぎが起きました。


この騒ぎに際し、元中央青山と共に
日本の四大監査法人をなす
「トーマツ」「新日本」「あずさ」の三大監査法人が、
どの程度顧客を引き受けてくれるのか
ということが話題になりました。


しかし、資生堂があずさに変更したとか、
東レが新日本に変更したといった、
いくつかの例こそ見られたものの、
これら三大監査法人、あるいは
中小監査法人を含めても、中央青山の
2300社もの大企業の監査を吸収するほどの
キャパシティーはありませんでした。
このため、結果的には、
顧客のほとんどが他の監査法人への
変更を行わない
ということになりました。


しかしこのことが、大きな変化は起きなかった、
ということを意味するわけではありません。


■ 業務停止命令の終了と新監査法人の発足

金融庁が出した業務停止命令は8月で終了しました。
中央青山監査法人は名称を「みすず監査法人」に変更し、
これまでより3割程度少ない2506人の体制で
監査業務を全面再開したと9月1日に発表しました。


みすずが以前より3割程度規模が小さくなったのは、
「あらた」という監査法人が新たに発足し、
中央青山監査法人の中で元青山監査法人にいた
一部の人達がそちらに移った
ためです。


なぜ「あらた」を発足させたかということについてですが、
これは、中央青山監査法人の海外の提携先である
「プライスウォーターハウスクーパース(以下PWC)」
という大手の監査法人が、粉飾決算の
片棒を担ぐような監査法人はまずかろうということで、
清廉潔白な監査法人を新たに設立することになったためです。
この監査法人にPWCと親しくしながら
国際業務をやっていた人達が移り、
「あらた」が発足されたというわけです。


つまり、中央青山監査法人は2つに別れたのです。
平たく言えば、中央青山に残ったのが「みすず監査法人」、
中央青山から離れてできたのが「あらた監査法人」
ということになります。


■ 「みすず」と「あらた」

この場合、自然な疑問として生じるのは、
「みすず」と「あらた」との間で、顧客や会計士が
どう別れたのかということでしょう。


顧客や会計士の割合でいうと、
ともにおよそ7:3といった感じになりそうです。
顧客、会計士ともに「みすず」に残るのが約7割で、
「あらた」に移るのが約3割
ということです。


「みすず」に残る顧客として、まずは
大塚商会、船井電機、ベスト電器、スカイマーク等
218社が上げられますが、これらの企業は
一時監査人を選任せず、9月1-5日に「みすず」を再任しました。
セブン&アイ、新日鉄、新日鉱HD、フジクラ等は
一時監査法人を選任していましたが、みすずを再任しています。
他に、NTTなども挙げられますが、NTTは
三大監査法人である「あずさ」とも監査契約を結んでいますので、
そもそも一時監査人を選任する必要はありませんでした。
NTTもまた、9月以降に「みすず」を再任しています。


一時は再任の見込が3割程度しかないのではないかとか、
2割の公認会計士はやめようとしているとか、
色々な噂が乱れ飛びましたから、
そのことを考えると随分落ち着いてきた観があります。


一方、「あらた」に移った顧客ですが、その例としては
ソニー、トヨタ、旭化成などの大手が挙げられます。
これらは、国内よりもむしろ海外において
大きな業務を行っているようなグローバルな企業で、
海外何十カ国という国々でPWCに監査を受けています。
当然、今後もPWCとうまくやっていきたい
と考えるでしょうから、PWCが設立に大きく関わった
「あらた」に移ったものと思われます。


「あらた」には中央青山から931名の会計士が移りました。
具体的にどういう人材が移ってきたかというと、
やはり外国向けの監査をたくさん手掛けており、
今後もPWCとうまくやっていきたいと考えている人達です。
今後「あらた」は、年内に1000人、
数年後には1700人規模の体制で
業務を行うことを考えているようです。


■ PWCの対応

今後の問題として、PWCが「みすず」との提携を解消し
「あらた」を単独の提携先にするのか、
それとも今後も「みすず」との提携を
持続していくのかということが非常に注目されます。


トヨタやソニーをはじめ、多くの国際企業が
「あらた」に移ってしまったので、
PWCがみすずとの提携を解消する可能性もあります。
その場合、「みすず」はこれから海外で
どこと提携するかを考えなければなりません。


しかし、「みすず」との提携を依然持続していくのであれば、
PWCは日本で2社と提携
することになります。
これはかなり例外的なことなのです。この意味においても、
PWCがこれからどうするのかというところが
次の見どころとなってくるものと考えています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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