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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 安倍政権の財政構造改革の見込み -前編-  (財務/村藤)

安倍政権の財政構造改革の見込み -前編-  (財務/村藤)

06/10/20

■ 安倍新政権誕生

安倍さんが自民党の総裁になり、
内閣の総理大臣になったということで、
自民党や内閣のメンバーも明らかになりました。
この組閣に際し、安倍さんは自らの内閣のことを
「美しい国作り内閣」と命名しました。
「美しい国作り内閣」というのは恐らくみんな賛成なのでしょうが、
問題はその中身が一体どういうものなのかということです。
今回はこのことについて見ていきたいと思います。


■ 成長なくして改革なし

最初に施政方針演説で安倍新総理が何を述べたのか。
大きな関心事として、改革路線を受け継ぐのか否か
ということがあったわけですが、
小泉政権の構造改革を受け継いで加速化します
というようなことを言いました。


しかし、このとき一つのキーワードが出てきました。
小泉さんは「改革なくして成長なし」ということを
しきりに主張してきたわけですが、
安倍さんは逆に「成長なくして改革(財政再建)なし」
ということを主張したのです。
一見ただの言葉の遊びのようですが、
「改革」と「成長」が前に来るか後に来るか
ということは重要な問題です。
「改革なくして成長なし」と言うと、
改革をやりましょうという話になるわけですが、
今回安倍さんが述べたように「成長なくして改革なし」と言うと、
今度は成長をやりましょうという話になってくるのです。


キーワードとしては小泉さんと逆の主張となっていますが、
どうやら安倍さんは、
小泉さんの進めてきた改革をやめるわけではないけれど、
成長に力を入れていきたいと考えているようです。
具体的には5年の平均で名目成長3%を目指していますが、
一方で来年度の新規国債発行額を
今年度の29兆9730億円から減らす方向で検討したり、
国家公務員の数を5年で1万9千人以上純減させることで、
財政再建にも取り組んでいく考えです。


■ 上げ潮路線とキーパーソン

その「成長」に関連する言葉として、
「上げ潮路線」というものがあります。
これは、もともと小泉さんのもとにいた
色々な方々が作った成長戦略で、
安倍政権になっていよいよ実行に移されようとしているものです。


この「上げ潮路線」を支えるキーパーソンとなる方々がいます。
まずは中川幹事長がその一人で、
自民党における「成長なくして改革なし」の
重要なキーパーソンとなっています。


内閣を見ると色々な方々がいます。
たとえば財務担当の方々や昔からのNAISの仲間などです。
NAISというのは根本、安倍、石原、塩崎の頭文字をとったものですが、
今回この4人がみんな何らかの形で係わっています。


たとえば日銀出身の塩崎さんは官房長官に就任しています。
小泉政権において、福田さんや安倍さんが
官房長官をやっていたということもあり、
最近は官房長官が非常に注目されるようになってきています。
今回の内閣も官邸主導型ということで、
官邸を仕切っている官房長官は
大変重要な役割を担うことになります。
マスコミに向けて色々なことを話す立場にもあるため、
とても目立つ存在となっています。


財政関係について見てみたいと思います。
今回5名の、全て政治家からの首相補佐官が誕生しましたが、
NAISの会の根本さんが財政担当の首相補佐官に就任しています。
この根本さんの下に、財務省出身の高橋洋一さんが
首相補佐官補としてついていますが、この方は実は
小泉政権において竹中さんのもとでいろいろ企画していた方です。
竹中さんや中川さんの知恵袋として、
上げ潮政策の企画にも携わっています。
小泉内閣の総辞職に伴い竹中さんも議員を辞職しましたが、
高橋さんは今回、根本さんと一緒に
経済財政を担当することになったということで、
ここに小泉路線からの継続性というものを見出すことができます。


今、竹中さんの名前が出ましたが、みなさんご存知の通り、
竹中さんは経済財政担当相として
経済財政諮問会議で頑張ってきた方です。
小泉政権において、この後を引き継いだのが与謝野さんでしたが、
与謝野さんの下では、昔の自民党と官僚主導型に
戻ったような形になってしまいました。
今回、安倍内閣において経済財政担当相に任命されたのが、
2002年に竹中大臣の要請で内閣府入りし、
竹中さんを手伝ってきた大田弘子さんです。
大田さんは女性として初めて局長級の政策統括官に昇格しています。
小泉路線の方向性を決めた「民間議員ペーパー」を下書きしたり、
上記の高橋さんと共に上げ潮政策の企画に携わったりと、
言うなれば竹中さんの後任的存在で、
ここにも小泉路線からの継続性を見出すことができます。
大田さんの動向としてまず注目されるのは、
一旦昔ながらの体質に戻ってしまった
経済財政諮問会議をどうするのかというところでしょう。


ところで、竹中さんは総務大臣も経験されましたが、
今回の組閣人事では、竹中元総務大臣のもとで
副大臣を経験している菅さんが総務大臣に任命されています。
管さんは基本的に竹中さんの自治体改革方針というのを受け継いでおり、
竹中さんがやる予定だった自治体改革をこれから継続する方針です。
具体的には、国と地方の役割分担を議論し、
補助金の縮小、国の出先機関の整理、
国から地方への権限や税源の移譲といったことになってきます。
道州制についても非常に前向きな方です。


財務担当の雄として尾身財務大臣がいます。
この方はもともと経済産業省出身で、
減価償却見直して、その95%しか減価償却を許さなかったのを、
100%認めましょうということを主張しています。
この方は経済成長を非常に熱望している方で、
消費税率の引き上げ議論はまだ早すぎると考えています。


それから柳沢厚生労働大臣。
柳沢さんはもともと大蔵省出身の方で財政再建論者です。
ところが一番お金をたくさん使っている省庁というのが実は厚生労働省。
やや穿った見方かも知れませんが、
柳沢さんを厚生労働大臣にした背景には、
財政再建を叫ぶのであれば、
膨大な社会保障関連費を削ってくれないか
という意図があるのではないかという見方もあります。
社会保障の中でも特に国民の関心が高いものは年金ですが、
その制度安定の為、基礎年金は国がこれまで3分の1負担していたものを、
2009年度から2分の1にすることが決まっています。
しかしこれには2兆3千億円かかるといわれています。
このための財源としては消費税が考えられるわけですが、
成長や歳出削減の効果をきちんと見極める必要があります。


そして高市早苗さん。今回高市さんは、
沖縄・北方、イノベーション、少子化対策担当等々、
色々な大臣を兼任することになりました。
その中で注目すべきがイノベーション担当大臣です。
安倍さんは、成長する為には技術革新を行っていかなければならない
ということを強く主張しています。
効率的にこれを実現していくため、
技術革新の長期戦略「イノベーション25」として、
医薬、工学、情報技術等の分野別に、
2025年の技術変化を予測しながら重点投資分野を
絞っていくことになっています。
高市技術担当相の下で検討チームを設置し、
来年2月ごろまでに対象技術を選定する予定で、
総合科学学術会議や経済財政諮問会議における議論を経て、
骨太方針2007に盛り込むことを目標としています。


(次回もこの話の続きをしていきたいと思います。)




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 出願期間 2006年10月16日(月)~23日(月) * 願書はHPでダウンロード可
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分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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