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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 自治体の知的財産戦略 ~横浜市のユニークな取り組み~ (産学連携/高田)

自治体の知的財産戦略 ~横浜市のユニークな取り組み~ (産学連携/高田)

06/08/24

先日、横浜市が新しく知財マネジメント会社を設立するということを発表しました。
今日は、ちょっとユニークな横浜市のこの試みをご紹介したいと思います。



■ 横浜市による知財マネジメント会社の設立


横浜市が、地域の中小・中堅企業経営に知的財産をもっと積極的に活用してもらいたい、
それによって市内産業の足腰をもっと強くしたい、ということで、これを支援する会社を
作ることを発表しました。 参照URL



■ 中小企業の長年の課題


中小企業の中には、素晴らしい技術や開発力を持っているけれど、
知的財産に対して意識があまり高くないというところが少なくありません。


もし必要なタイミングで必要な特許を取っていれば、
非常に長くビジネスが出来る可能性があるのに、それを怠った為に、
ライバル会社にすぐに模倣されてしまったりするのです。


とは言え、中小企業にはこういったことを
専門的に行う人材を抱える余裕はなかなかありません。


こういった問題は中小企業の長年の課題だと言われています。
最近は国もこの課題の解決が重要だと認識しています。



■ 「知的デバイド」問題


近頃、「知財デバイド」という言葉がよく使われるようになりました。
(「デバイド」は「大きなギャップ」を意味しています。)


大企業には何百人というしっかりとした体制の知財部門があります。
知財関連業務を統括・管理し、戦略を立案・遂行するという面で組織だった対応が可能です。


しかし、既述のように中小企業ではなかなかその余裕はなく、
そもそも意識自体がそれほど高まっていません。


このままの状態が続けば、大企業と中小企業の知的財産に対する意識や
取り組みの格差がどんどん大きくなり、「知財デバイド」が拡大してしまいます。


この問題をいかに解消していくかという流れの中で、
今回の横浜市の取り組みは非常に注目に値すると思います。


横浜市が設立する新会社は、地域の中小企業に対して、
知財戦略の立案や効果的な知財取得、人材の育成、資金調達、製品開発、
といった幅広い事柄に対してワンストップで支援を行う予定とのことで、
横浜市は、とりあえずこの会社に一部出資し、将来的には完全な民間会社化することも
考えているそうです。



■ 官民共同による「横浜会議」


実は今回の横浜市の試みというのは行政が全てをリードするのではなく、
市民を巻き込んだ非常に面白い仕組みの中から生まれてきています。


従来の行政サービスは、市役所などの行政機関が音頭をとり、
税金を使って市民や産業にサービスを提供してきましたが、
財政や専門人材等の面で何でもかんでもこの方法でサービスするということには
限界があります。


しかし横浜市には、市民や地域の企業と行政が一緒になって、
ともに政策を作り、それを実行していこうという、「横浜会議」という
官民共同型のインフラの仕組みがあるのです。


これは、産学連携マネジメントと非常に似ています。
お互いが持っている能力などの色々なリソースを持ちよって、
みんなで一緒に考え、実行しましょうという仕組みなのです。



■ 横浜型知的財産戦略


今回の会社設立の話も、ある地元のNPOの方から
提案があったのが発端だそうです。
知財デバイドの解消を目的に、市が有識者の方を集め、研究を継続してきました。
そして、その中で「横浜型知的財産戦略」という戦略をまとめることが出来たのです。


ここで言う「横浜型」についてですが、
「横浜」はブランドとしては既に非常に高いブランドを持っています。
地域内に大学や公的な研究機関、あるいは企業の開発の拠点なども結構多く、
科学者や技術者の方もたくさんいらっしゃいます。


さらに、お洒落な街ということもあり、デザイナーなども比較的多く集積しています。


そういったものを統合して、「知的財産と言えば横浜だ」
というイメージを出来るだけ全国に先駆けて確立しようとしているのです。
それにより、「ビジネスを行うならば横浜がいい」という価値を全国に先駆けて
創ってしまおうとしているのです。


つまり、知財で都市のブランドを作ってしまうというというところに
横浜市の意図があり、今回その為の戦略とそれを実行する会社を
作ったということなのです。


今後、この横浜市の官民相乗り型の政策展開は、新しい価値を生み出す可能性があると思います。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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