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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 世界に誇る久山町研究 (産学連携/高田)

世界に誇る久山町研究 (産学連携/高田)

06/08/10

今回は、九州大学医学部の第2内科が
久山町において40年以上に渡って続けている
ユニークな活動をご紹介させて頂きたいと思います。


■ 世界的にも稀有な久山町研究

福岡市のすぐ隣に久山町という町があります。
この町では、九大医学部によって40年以上に渡って
町民の健康診断が行われているのですが、
それをまちづくりや町民の健康増進、
あるいは生活習慣病の疫学研究などに
活かすという活動が随分長いこと行われています。
こういう例は世界的に見ても殆どありません。
私個人は久山町でのこの取り組みを
一種の「世界遺産」と呼ぶべきほどの
価値を持つと捉えています。

特に近年、人の遺伝子を
解析するという技術が発達してきていますが、
久山長で40年間蓄積されてきた
健康診断データをもとに、
人の遺伝子と生活習慣病との関係を探り、
病気に関係する遺伝子を明らかにするような
新しい研究も始まっています。


■ 久山町研究の価値

久山町研究には
大変おおきな価値があると考えています。
その根拠は大きく3つあります。

第一に、既述のように40年以上という
長期に渡り定点観測が出来ている点です。
これほどの長期に渡って
地道できめ細かい活動を継続するのは、
なかなか容易なことではありません。

第二に、健康診断は40歳以上の全町民を対象にしていて、
実際の検診率が8割を超えているという点です。
つまり、殆どの町民の方が毎年健康診断を受け、
身長、体重、血圧などの通常の健康診断のほかに、
食生活や飲酒、喫煙、いつどんな病気にかかったのかということ、
さらにはどんな仕事をしているか
というような事柄まできちんと記録され、
データベース化されているのです。

第三に、亡くなられた町民の方の8割以上を解剖し、
正確な死因や臓器の病変を調べて
記録しているという点です。
これは通常だと到底信じられないことで、
九大の先生方と町民の方々との間に
深い信頼関係があって初めて成立することです。

このような例は世界にありません。
久山町研究は、研究開始当初の予算が厳しい時期には
アメリカ政府が研究助成をしていたほどです。
これは、早い段階から
この研究の意義というものが認識されていたということでしょうが、
こういった素晴らしい活動を
40年以上も続けているということで、
私の目にはまさに世界遺産として映るわけです。


■ 「有限責任中間法人 久山生活習慣病研究所」の設立とその活動

この健康診断と研究の蓄積をより活かしていく目的で、
昨年4月1日、九大と久山町と民間企業数社が協力して
「久山生活習慣病研究所」という研究所を設立しました。

この研究所では、
例えば製薬企業と連携して新しい薬を開発したり、
食品企業と連携して新しい機能性食品を開発したり、
ということを計画し、活動を開始しています。

また、「久山元気予報」という
生活習慣病のリスクを予測するシステムの
開発に取り組んでいます。
これは、個人の健診データを
過去の膨大なデータベースと組み合わせて解析し、
その人が今後10年間に
生活習慣病を発症するリスクが
どの程度なのかを割り出すものです。
生活習慣病は予防が肝心なので、
このシステムでリスクを予測し、
町民ひとりひとりが
何に気をつけて生活すればよいか、
医師が適切なアドバイスをすることが
できるというわけです。
現在はまだ開発中ですが、
実用化が期待されています。

このようなことは、一朝一夕には出来ない、
長く続いてきた蓄積こそが可能にするものです。
久山町研究の成果をより有効に活かすことによって、
世界に冠たる新しい薬の開発や、
病気の新しい診断方法などの開発が
進むことが大いに期待されるところです。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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