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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 技術立国を揺るがす工学部離れ(産学連携/高田)

技術立国を揺るがす工学部離れ(産学連携/高田)

06/08/03

ここのところ産学連携に関する
色々な事例を挙げてきましたが、
その中核をなすと言っても過言ではない
工学部、とりわけ国立大学工学部の
志願者数というのが減少しています。
今回はこの問題をお話させて頂きます。


■ 激減する国立大学工学系学部への志願者数

岐阜大学の調査によると、
全国58の国立大学の
工学系学部への志願者が
大幅に減少しています。
定員枠約2万に対し、
2002年には6万4千人だった志願者数が、
2006年には5万3千人と、
なんと約17%も減ってしまったのです。

もちろん、若い方の人口自体が減少しているわけですが、
この間の18歳人口の減少は9%程度ですから、
単純計算で約8%は減っているということになります。


■ 大学の2007年問題

この傾向が続くと
大学はなかなか大変な状況になってしまいます。
実際、北九州のある私立大学は
工学部の2学科の募集停止を先日発表しました。

ところで、2007年度というのは全入学時代、
つまり全国の大学が持つ定員枠と
志願者数が同じになる年です。
要するに、数字の上では
誰でも大学に入れるという
時代になるということです。
大学にとってみれば、
これは学生募集の「2007年問題」と言えるでしょう。


■ 学部志願者は減少しているが、大学院進学率は増加している

国が出している科学技術白書においても、
80年代後半からずっと
理数系の倍率が下がり続けていることが
指摘されています。
この「理数離れ」にどう対処するのか、
知恵を絞って考えていかなければならない
状況にあるのだと思います。

ただし、より専門的なことを学ぶ
大学院への進学率については増加しています。
これまで「科学技術創造立国」というものを
何度かご紹介致しましたが、
国がここ10年ほど、
科学技術に対してかなり予算を増やしており、
たとえば大学や公的な研究所に
かなり大きなお金が流れて
ハイテクの研究の振興が行われています。
また、基礎研究や産業界でニーズの高い
ITやバイオ、ナノテクなどの領域については、
最近ではむしろ大学院の設置が増えていたりします。
こういうことで大学院への進学率が増えているので、
技術系の人材不足という面から見ると救いかもしれません。


■ 「ゆとり教育」の弊害

とは言え、大学の理数系離れの問題は深刻です。
よく指摘されることですが、
この一番の問題はやはり
「ゆとり教育」にあるのではないでしょうか。

「ゆとり教育」ということで、
小学校のうちから理数系の学習には
十分に時間をかけない。
そのため子どもがせっかく興味を持っても
学習する機会が少ない。
理科や算数などを学習する機会が少ない割には
科目として難易度が高かったりするものだから、
子どもはついていけなくなってしまい、
その結果理科や算数から
離れてしまうということが起きている。

また、中学までの学習量を大幅に削減した一方、
大学入試自体のレベルはさほど変化していないため、
高校が大きなしわ寄せを受けています。
その結果、高校では
物理、化学、生物、地学の中から
1つ選択する程度の余裕しかない。
時々耳にしますが、
高校で生物を全然勉強していない人が
大学の医学部に入学してしまうという、
おかしな現象も起きています。

小学生に対する調査をみると、
子ども達の理科に対する興味が下がっているわけではないし、
成績が悪くなっているわけでもないことが分かります。
このことは、仕組みを作る大人側に
責任があることを示しているのではないでしょうか。


■ 技術の高度化・細分化の弊害

また、大学の理数離れについて
もう一つ問題点を挙げるとすれば、
技術が高度化・細分化して
ブラックボックスになってしまうことが、
人々の技術に対する関心を
低くしているということでしょう。

最近の高機能の製品には
どんな技術が使われているのかということについて、
素人が理解するのは、たしかに難しいことです。
だからといって諦めてよいということにはなりません。
まずは教育の現場で
学問の敷居を下げることが重要なのではないでしょうか。
最近は、非常に分かり易い実験で
物理現象を子どもに体験させる「でんじろう先生」、
あるいは「世界一受けたい授業」といった
テレビ番組などに注目が集まっています。
科学技術の原理について理解しやすい授業を提供する
“スキル”が教育者側に求められているといえます。


■ 大学の理数系離れに歯止めをかけるには

大学の理数系離れの傾向に
歯止めをかけようとするのであれば、
まずは小学生などのうちから
科学や数学への関心を持てる機会を
しっかりと提供することが重要でしょう。
さらに、大学の理数系の教員は
もっと魅力的な教育のあり方を
クリエイトする必要があると考えます。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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