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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > すかいらーくのMBO (村藤/財務)

すかいらーくのMBO (村藤/財務)

06/06/30

先日、すかいらーくがMBOを宣言しました。
今回はこのことについてお話ししていきたいと思います。


■ MBO

MBOというのはmanagement buy-outの頭文字をとったもので、
会社の経営者が企業を買い取ることを意味します。
すかいらーくの株は東証一部に上場していますが、
6月8日にすかいらーくの経営陣が
management buy-outを行うことを宣言しました。


■ TOBとすかいらーくの非上場化

今後のMBO取引は、特別目的会社SPCを通じて、
すかいらーく株をTOB
(Take Over Bid:公開買い付け)
により買い集めることになります。
ひとまずTOBで3分の2以上買い集めることを目標とし、
これが成功すれば
TOBに応じなかった株主から
個別に買い取る予定です。


残った株を全部買い取れば、
上場している株が無くなってしまいます。
つまりは上場廃止ということになり、
すかいらーくは非上場の会社となります。


■ TOB費用とその調達

それまで2,000円だった株を、公開買い付けにより
株主に2,500円で売りませんかと持ちかけるわけです。
というのは、価格を上積みしなければ
当然株主は株を売ってくれないからです。
その上積額についてですが、
その時の株価であるとか、
それまでの3ヶ月、6ヶ月の平均を取り、
その平均の株価に2,30%を上積みするのが一般的です。


今回SPCが株式を全て購入しようとすると、
必要な費用が2700億程度になると見られています。
昨年、ワールドというアパレル会社が2000億円で
日本最大のMBOを行いましたが、
経営者がそのような大金を持っていたわけではありません。
そこには多額の出資を行う主体が存在します。


今回のケースでは、
野村プリンシパルファイナンスという
野村のファンドが1千億円程度を出資し、
CVCキャピタルパートナーズという
イギリスのファンドが600億円程度を出資します。
株にお金を出すのは野村とCVCですが、
さらにみずほがブリッジローン(貸し出し)で
1200億円程度の資金を準備しますので、
SPCはこれらをあわせて
100%の株式調達費用を賄えるというわけです。


■ ファミリーレストランの現状と脱ファミレス

2,30年前はすかいらーくやデニーズが開店すれば
客が足を運ぶ状況で、業績は順調に伸びていました。


しかし、近年は外食産業にとって
非常に苦しい状況が続いています。
外食産業自体が全体として縮小傾向にあります。
人口減少、少子高齢化もあいまって、
すかいらーくは昨年も売上が減少し、
また経常利益も減少しました。


このままでは生き残っていけない、
もはやファミリーレストランという
形態そのものに限界があるということで、
今回,ファミリーレストランという形態から抜け出て、
新たなる方向性を模索し始めたわけです。


脱ファミレスによりすかいらーくが目指すのは、
食事代金で100円から1万円までの
多用な外食チェーンの集合体です。
現在すかいらーくの売上は4千億万円程度ですが、
これにより2009年末にはグループ全体で
1兆円を目指そうという壮大な計画を描いているようです。


■ 非上場の目的

上場には多くのメリットがあります。
その最たるものは、
資金調達が行いやすくなるということでしょう。
多くの非上場企業が
上場に向かおうとしているにも関わらず、
上場からわざわざ非上場に向うのには、
実は上記の「新たなる方向性の模索」が大きく関係しています。


現在、すかいらーくには株主が約5万人いますが、
基本的に彼らは株主総会における議決権を持ちます。
例えば「脱ファミレス」という意思決定において、
すかいらーくがその株主の賛成を取り付けることを考えましょう。
株主5万人の賛成を取ることが
とても大変なことだということは想像に難くないでしょう。


さて、今まさに
すかいらーくの株を買おうとしている
投資家がいるとしましょう。
その買い手はすかいらーくのことを
優良な企業だと判断しているものとします。


しかし「脱ファミレス宣言」を行い、
他の企業を買収したり、
全面改装で巨額の設備投資をしたいのに、
既存株主などが「すかいらーくは変な企業」だ
などと言って突然株価が下がったりすると
マスコミは騒ぐでしょう。
これでは先程の投資家は
落ち着いてすかいらーく株を買えないし、
経営者も落ち着いて買収や設備投資に
取り組みにくくなります。


このような影響を考えると、
上場していては自由に「脱ファミレス」戦略を
実行することができないということになります。
こういった株主や株価の影響を受けずに意志決定を行うことが、
このMBOの最大の目的なのです。


他の企業の買収や設備投資がうまくいって
本当に売上を1兆円にできるかどうかは疑問だし、
駄目なときに
野村やCVCがどうするかを注目してみていると
面白いかもしれませんね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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